
ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が、ハンガリーのドローンが再びウクライナ領空を侵犯した場合、軍事的に対応すると警告した。
ゼレンスキー氏は26日の演説で「軍に徹底した点検を命じ、再びドローンが現れれば国家防衛のため適切に対処するよう指示した」と強調。さらに「ウクライナはヨーロッパで最も優れたドローン防衛能力を持つ」と主張し、ドローン戦の経験を欧州や中東の数十カ国と共有するため協議を行っていると明らかにした。
これに対し、ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外相は「ゼレンスキーは反ハンガリー妄想に取り憑かれ、幻覚を見始めている」と痛烈に反発。しかしウクライナ軍は同日朝、国境地帯ザカルパッチャ州で異なる高度を飛行するドローン型飛行体が2度にわたり国境を越えたとレーダーに捉えたと主張し、両国の言い分は真っ向から対立している。
ハンガリーはNATOとEU加盟国であり、ロシアの脅威に対抗するEUのドローン防衛網構築の議論にも参加している。しかし右翼ポピュリストとされるオルバーン首相が親ロシア政策を推し進めており、歴史的な民族対立も絡んでウクライナとの関係は険悪さを増している。ウクライナのNATO・EU加盟にも強硬に反対している。
ウクライナのアンドリー・シビハ外相も「我々はハンガリー政府の偽善と道徳的腐敗、欧州諸国への隠れた工作、そしてクレムリンの手先としての姿を見ている」と非難。両国の対立は外交的な舌戦に発展し、緊張はさらに高まっている。
ハンガリー側は、ゼレンスキーがドローン侵犯を持ち出したのは、欧州レベルでのウクライナ支援に反対する自国に圧力をかける狙いだと解釈している。先月にはウクライナ軍によるドルージバ・パイプライン攻撃でロシア産石油の供給が途絶え、ハンガリーは自国のエネルギー安全保障への攻撃だとして強く反発。シビハ外相は「モスクワの友人たちに抗議せよ」と皮肉を込めて言い放ち、火種は広がり続けている。
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