
中国の企業が、宇宙空間で衛星を観察し、宇宙ごみの異常な動きを探知するなど「宇宙状況認識(Space Situational Awareness, SSA)」の役割を担う「星眼(スター・アイ)」システムの構築を進めていると、香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)』が11月30日に報じた。
『ニューシス』によると、中国はこれまで宇宙ごみが衛星と衝突するリスクを低減するため、長年外国の追跡データに依存してきたとして、独自の「星眼」衛星コンステレーションの必要性を強調したという。
星図測控が推進する「星眼」または「スター・アイ(Star Eye)」と呼ばれる宇宙状況認識システムは、156基の衛星で構成される。
このシステムは、他の衛星や宇宙ごみの軌道を識別し、異常な動きを感知し、2時間ごとに衝突警報や必要な回避機動の助言を行っている。
同社は、主要な地理空間データ企業「中科星図」から分社した企業で、2027年までに12基の衛星を打ち上げ、2028年以降に全ネットワークを構築する計画だという。
星図測控のフー・ウェイ会長は11月27日、北京で、このネットワークが世界の低軌道領域をカバーし、高軌道の目標監視も行い、30分ごとに更新される情報を提供すると述べた。
中科星図から分社した別会社「北京開運」は、9月5日に「開運1号」衛星を打ち上げた。
これは、同社が24基で構築しようとしている宇宙観測システム「広視宇宙状況認識システム」の1号機となる。
『SCMP』によると、現在、宇宙空間の衛星監視システムとして完全に機能しているのはアメリカ軍が運用するもので、地球静止軌道上の5基の衛星を使用して他の宇宙船をモニタリングし、異常な活動を調査しているという。
「宇宙状況認識」という概念は1990年代に生まれ、軌道上の物体(稼働中の衛星から宇宙ごみまで)の探知、追跡、動きの予測を目的としている。
このシステムは、地上のレーダーや望遠鏡ネットワークに加え、低軌道および高軌道を監視する宇宙搭載センサーにも依存する。
毎年数千基の新しい衛星が打ち上げられる中、こうしたシステムは交通管理と衝突回避に不可欠となっている。
衛星が軌道上のごみなどを探知すると、その位置を把握した上で地上へデータを送信し、処理が行われる。
星図測控のフー会長は「データが処理された後、その結果として導かれる戦略を衛星へ送り返し、衝突を回避し、最終的に宇宙資産を保護できるようにしている」と述べた。
『SCMP』は、この技術が二重用途(デュアルユース)とも見なされていることに触れた。
つまり、宇宙ごみの観察活動は、他国の衛星監視や軍事計画の支援にも利用され得るということだ。
中国が「宇宙状況認識」システムの構築に積極的に乗り出したことで、この分野の米中競争はさらに激化するとみられている。














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