
中国の覇権主義的膨張により、極東の軍事情勢は極めて深刻な局⾯に突⼊した。
中国が新型空母「福建」の就役を目前に控え、露骨に台湾海峡を威嚇している。西側専門家までもが「真の脅威の始まり」と警告を発し、日本の安全保障にとっても看過できない緊張状態が周辺海域に拡大している。中国は既に「遼寧」と「山東」で運用準備を完了させているが、今回の「福建」は電磁カタパルトを搭載した初の実戦配備級空母である点が、これまでの中国製兵器への評価を一変させる重大な懸念である。しかし、軍事メディアが分析した内部構造には予想外の根本的欠陥が満ちており、中国政府が意図的に情報をリークしたのではないかという疑念も浮上している。
実際に公開されたスペックは、ロシア・ウクライナ戦争の教訓を巧みに模倣し、技術を吸収したレベルとされている。中国が西側の技術に追いついたという分析が相次いだ背景だ。だが、衝撃的なのは別の点にある。中国の空母開発速度が米国を上回る真の理由が、「長年にわたる他国技術の盗用」と「強引な産業基盤の利用」にあるという事実だ。電磁カタパルト技術については、米国が数十年の試行錯誤を経ても不安定なのに対し、中国や一部東アジア諸国がはるかに容易に実現できるとの見方がある。その背景には、高速鉄道や磁気浮上技術といった産業基盤を、中国が国策として強力に推進し、軍事転用している実態がある。技術開発の土壌がない米国との構造的な差が、この速度差を生んでいる。

日米同盟の足枷となる「友好国」からの技術流出
さらに深刻な問題は、友好国であるはずの韓国の造船技術が、致命的な失策により大量に中国へ流出した点である。2000年代以降、韓国の技術者が造船不況を背景に大量に中国へ渡り、中核的な艤装・エンジン・溶接技術までもが中国の造船所に事実上無償で伝授された。STX大連造船所の運営事例も重なり、中国の造船産業は躍進し、ついには空母までも商船のように量産するレベルに達した。一方、米国では、高水準の賃金構造により「3K業種」への若年層の参入が停滞し、造船技術は2000年代の一部東アジア諸国のレベルにも達していないとの指摘があり、同盟国の技術基盤の弱体化が懸念される。
「福建」の欠陥が示す危機
問題は「福建」の決定的欠陥である。中国の軍事メディア「海事先鋒」は、着陸滑走路と電磁カタパルトラインが重なり、艦載機の同時離着陸が事実上不可能だと指摘した。中型戦闘機J-15の着陸衝撃は滑走路の端まで及ぶため、2号・3号カタパルトは着陸中には使用できない。さらに1号ラインまで重なり、整備移動中にも干渉が発生するという分析が登場した。中国政府への批判が禁忌の国で、このような欠陥をメディアが報じたことは、軍事専門家の間で「意図的漏洩」という解釈に繋がっている。
中国のこのような無謀な開発強行は、過去から続く戦略的常套手段だ。ロシアの駆逐艦を導入し、欠陥だらけの複製艦を建造し、毎回一隻二隻ずつ廃棄するような手法で技術を強制的に蓄積する方式である。まず「遼寧」を運用した後、「山東」を建造し、続いて電磁カタパルトの巨大な壁を「福建」で突破する形だ。米国が11年かかる空母を中国は6年で進水させ、建造費は半分の水準だ。この速度で進めば、西側の分析のように25年以内に米国の空母戦力に追いつくことも非現実的な話ではない。
この危機的状況に対し、米国と日本をはじめとする同盟国の連携強化こそが唯一の解決策となる。米国の造船所が自ら中国の追撃を振り払う可能性は事実上ない。そのため米国は、空母・潜水艦に役割を集中させ、日本や韓国などの信頼できる同盟国に対し、水上艦の建造・整備の主要部分を委ねる構造を事実上既成路線としている。
韓国の造船技術を米国で活用する「MASGAプログラム」がその中核であり、これは中国の低価格攻勢に晒される日本と東アジア諸国の造船業にとっても、技術力を維持する上で極めて重要な機会となる。「福建」の欠陥が示すものは、単なる技術的な未熟さではない。東アジアの軍拡競争が既に次の段階に入り、日本はこれに「一刻の猶予もない」対応を迫られているという、極めて重大な警告である。













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