
AFP通信は、去る5日(現地時間)にアメリカ・ワシントンD.C.で実施された2026 FIFAワールドカップ北中米大会の組み合わせ抽選会およびFIFA平和賞授賞式を前に、米国のドナルド・トランプ大統領とジャンニ・インファンティーノFIFA会長の「親密な関係」が注目を集めていたと報じた。
先月5日、インファンティーノ会長は新たに「FIFA平和賞」を創設し、ワシントンD.C.のケネディ・センターで行われる組み合わせ抽選会とあわせて初の授賞式を開催すると発表していた。受賞者はインファンティーノ会長が式典で直接発表する予定であるとされた。
平和賞創設について、インファンティーノ会長は「ますます不安定で分断が深まるこの世界で、対立を終わらせ、平和の精神で人々を団結させるために尽力する人々の貢献を称える」ことが目的であると説明していた。
こうした動きを踏まえ、同賞の受賞者はトランプ氏に内定しているという観測が公然と広まっていた。
緊密な関係構築の背景
2016年に就任したインファンティーノ会長は、トランプ氏が大統領に就任した後、継続的に彼を訪問し、関係構築に力を入れてきた。
今年初めに行われたトランプ氏の2期目就任式にもインファンティーノ会長は出席したと報じられている。その後も、3月にはホワイトハウスを訪れてFIFAクラブワールドカップのトロフィーを披露し、6月にもイタリアのユヴェントス選手団と共にホワイトハウスでトランプ氏と会談したとされている。その際、トランプ氏はユヴェントス選手団に対し「女性選手と一緒にプレーしたことがあるか」「女性がチームに加入することはできるのか」といった突飛な質問を投げかけたという。
スポーツの枠にとどまらず、インファンティーノ会長は重要な政治的舞台においてもトランプ氏と共に姿を現している。2020年のスイス・ダボス世界経済フォーラムでは、トランプ氏が主催した企業幹部向けの夕食会で演説し、同年にはイスラエルとアラブ諸国の国交正常化を目指すアブラハム協定の署名式に出席するためワシントンを訪問した。
また、去る10月には、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されたガザ和平サミットにも、唯一のスポーツ関連者として参加していた。
実用主義か、政治介入か
AFP通信は、インファンティーノ会長のこうした行動について、来年のワールドカップで104試合中78試合がアメリカで行われることから「一定の実用主義に基づくものだ」と分析している。4年に一度開催されるワールドカップはFIFA収入の80パーセントを占めるとされている。
イギリスのスポーツコミュニケーション戦略家であるジョン・ジェラファ氏は、AFP通信を通じて「インファンティーノ氏は明らかにトランプ氏と非常に親密な関係を築いている。2026年の大会が成功することは双方にとって利益があり、その関係を活用しているのだ」と語った。
イギリスのガーディアン紙も、インファンティーノ氏とトランプ氏の「親密な関係」は「単なる個人的使命ではなく、ビジネス上の必然だ」とし、その見返りとしてFIFAが来年のワールドカップで入場料や駐車券の販売などを通じ、史上最大の利益を得るだろうと予測している。
一方、インファンティーノ会長の行動は、実用主義を超えて「サッカーの政治介入である」との論争も招いている。
先月5日、インファンティーノ会長はマイアミで開催されたアメリカ・ビジネスフォーラムでトランプ氏を称賛し「私たちは皆、彼の歩みを支持すべきだと思う。正しい道へと進んでいるからだ」と演説した。
FIFAはサッカーの政治的中立を求める厳格な規則を設けている。元FIFAガバナンス責任者のミゲル・マドゥーロ氏は、インファンティーノ会長の発言がサッカー協会の規則に違反しているとし、「アメリカ内で起きている政治的論争に対して立場を表明している」と批判した。
FIFAを批判する報告書を作成した人権団体フェアスクエアのニック・マクギーハン理事は、「本質的な問題は、インファンティーノ氏本人が『問題そのもの』というより、あくまで『症状』に過ぎないという点だ」と指摘し、「彼の任務はサッカーを持続可能に運営することではない。権力と資金を集め、それを協会に再分配し、最大限の恩恵をもたらすことだ」とガーディアンを通じて語った。













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