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長年「安楽死」を望んできた女性、最後に医師から質問を受ける「その決断に間違いはありませんか?」

平野大地 アクセス  

安楽死直前に心変わりした20代女性の物語

安楽死を目前に控えた22歳の女性が、医師の最後の質問をきっかけに「生きる」決断を下した。

先月14日(現地時間)、豪メディア「ニュース・ドット・コム」が22歳のオランダ人女性ロミ(Romy)の話を報じた。

幼少期に受けた虐待が原因で、うつ病や摂食障害、拒食症に苦しんでいたロミは、特定の状況下で安楽死が認められているオランダの法律に基づき、最終的に安楽死を選択した。

ロミは18歳になってから、自発的幇助自死(VAD)の権利を求めるキャンペーンを行い、医師や公務員、家族に訴えかけてきた。4年間にわたる努力の末、ついにその権利を得ることができた。

ところが2023年、オランダのライデンにある病院のベッドに横たわっていたロミは突然心変わりしたという。

その朝、遺体安置所に運ばれる予定だった彼女は、自分が横たわる予定の棺を確認した。ロミのそばには母親が付き添い、弟は病院の庭で全てが終わるのを待っていた。

医師はロミのベッドサイドに立ち、オランダの安楽死法に基づき、これから行われる手順を順に追って説明した。彼女は、医師に全ての手順を理解したと伝えたものの、胸の高鳴りと冷や汗を抑えきれなかったという。そして、医師が薬の注射を準備しつつ、最後の確認を行った。

「その決断に間違いはありませんか?」

改めて安楽死の意思を確認する質問だった。

その瞬間、ロミの心は大きく揺らいだ。4年間、この日を思い描き準備してきたにもかかわらず、医師の最後の一言が彼女の決心を崩した。

「今は生きたいと思っている」

彼女が躊躇すると、そばにいた母親が泣き出し、その姿を見たロミは結局全てを取り消す決断を下した。その後、ロミは再び自発的安楽死を申請し、間もなく病院に向かう予定だった。しかし、精神科医や家族、友人たちが「回復は可能だ」と粘り強く説得し支えた結果、彼女は虐待によるトラウマ治療を続けることを決意した。ロミは現地メディアのインタビューで「今はただ生きたいという気持ちでいっぱいです」と語った。

さらに「私はここまでの道のりを後悔していません。本当に後悔していないんです。死に近づいたからこそ、人生がより貴重に感じられます。すべてが順調にいくわけではありませんが、トンネルの先に光があることをようやく理解しました」と強調した。

現在、ロミは成人教育の学位取得を目指して学業に励み、介護施設で生活を送っている。

記者が彼女に何が希望を与えているのかと尋ねると、彼女は笑顔で「変に聞こえるかもしれませんが、家賃を払うことが本当に楽しいんです。私の人生に意味を与えてくれるから」と答えた。

なお、オランダは2001年に、世界で初めて医師の助けを受ける積極的安楽死と自発的幇助自死を合法化した国だ。

オランダでは、回復の見込みがなく耐え難い苦痛を抱えている患者が「真摯かつ確固たる信念」を示した場合に限り、自発的な安楽死が認められる。

2023年にはオランダで安楽死により亡くなった人は9,068人で、前年の8,720人から増加し、この数字は、同国の全死亡者の5%以上を占めている。ほとんどの安楽死は、医師が薬物を注射する方法で行われている。

平野大地
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