
「道に迷ったの?」
車を道路に止め、歩道に向かって呼びかける運転手の声は、まるで道に迷った子どもに話しかけているようだ。しかし、歩道にいたのは人ではなく、ポインターと思われる犬で、迷子のように見えた。
運転手はすぐに車の後部ドアを開けて「おいで、おいで」と声をかけると、犬は後部座席に飛び乗った。
運転手の隣に座っていた息子は、大きな犬の登場に緊張した様子で「怖い」と言ったが、運転手は「よし、座って。ここに座って」と息子ではなく犬をなだめた。そして犬の首輪を確認しながら「ママに電話しようね」と優しく話しかけた。
これは、5日、犬に声を話しかけていた運転手が自身のSNSに投稿した短い動画だ。この心温まる動画は、再生回数160万回を超え、投稿してから時間が経過した今でも話題を呼んでいる。

運転手は犬が家に帰るまでの過程を捉えた2本の動画を追加で投稿した。
首輪に記載された飼い主の連絡先に電話をかけ、犬を発見したことを伝えた。受話器越しに「ありがとうございます」という声が聞こえてきた。犬の名前が「エビ」であることも分かった。
エビの飼い主は運転手に「犬小屋を掃除していた短い間、外に繋いでいたのだが、紐を切って逃げ出したようだ。あなたがいなければ大変なことになっていただろう」と感謝の言葉を伝えたという。
エビの家に向かう道中、運転手は「エビ、私たちの縁だね。おばさんがおやつをあげるから、食べながら行こうね」と言いながらおやつを与えた。息子もいつの間にか緊張がほぐれたようで、エビを自分の膝の上に座らせていた。

13日、エビが家に帰った後の展開を気になっているユーザーのため、運転手はエビと再会した時に摂った動画をSNSに投稿した。
「エビは幸せ」というタイトルの動画では、広い庭にいたエビが運転手を見つけると、まるで覚えているかのように飛び上がり、前足を上げて抱きつく姿が映し出されていた。
運転手は「思いがけず愛らしいエビと一緒に過ごした短い時間は、むしろ私の方が幸せだった」と述べ、「動画だけを見てエビが鎖に繋がれて飼われていると誤解している人もいるが、エビは広い庭と室内犬舎のある家で大切に育てられている。元気に過ごしている姿も確認できた」と説明した。
動画を見たネットユーザーも「最高の『おいで』だった」、「エビ、もう家出しちゃダメだよ」といったコメントで心温まるエピソードに反応を示した。