
同じ親から生まれた兄弟が似ているように、太陽系の兄弟惑星にも互いに共通点があり、また、それぞれ異なる特徴も持っている。
太陽系で地球に最も似た惑星とされる金星や、互いに似たガス惑星の木星と土星、海王星と天王星は、それぞれ独自の特徴を持つ。しかし、地球と金星のように大きさと質量が似ているのにもかかわらず、環境が180度異なるケースは珍しい。
地球と異なり、金星の大気の大部分は二酸化炭素で構成されているため極端な温室効果で表面温度は摂氏457度に達し、気圧も地球の90倍以上だ。金星と地球の違いは大気だけでなく、地表にも存在する。1990年から金星を探査している米航空宇宙局(NASA)のマゼラン探査機は、金星の表面で地球に似たプレートテクトニクスの痕跡を見つけられなかった。
地球の地殻はマントルの上に氷山のように浮かんでおり、パズルのように組み合わさった複数のプレートで構成されている。これらの地殻プレートがマントルの動きに応じて移動することで、大陸も移動する。当初、科学者たちは金星が地球とほぼ同じ大きさで構成物質も類似しているため、地球と同様のプレート構造を持つと予想していた。しかし、金星にはプレート構造や地殻プレートの移動の痕跡が全く発見されなかった。科学者たちは、金星のマントルエネルギーが火山の形で噴出するか、あるいはコロナ(Corona)と呼ばれる独特な円形構造の形で現れると推測した。

アメリカ・メリーランド大学とNASAゴダード宇宙飛行センターのガエル・カッシオリ氏は、マゼラン探査機のデータを詳細に分析し、金星地殻の地質運動について新たな知見を得た。実際、金星は厚い雲に覆われているため、地形を直接観測できない。そのため、マゼラン探査機は雲を貫通できるレーダーを使用して地形図を作成した。研究チームは、この地形図から金星の地質活動に関する重要な事実を発見した。
研究チームによると、直径数百kmに達するコロナ地形は地球の地殻プレートと類似の機能を果たしている。例えば、コロナの同心円は実際には地球の沈み込み帯(サブダクション帯)のように地殻がマントル内に沈み込む場所だ。そして、このように内部に沈んだ地殻は溶けてマントルの下に沈降していた。さらに、噴出するマントルによる地形や火山活動も確認された。

引用:Anna Gülcher
研究チームは、地球もプレートテクトニクスが形成される前は、同様の方法でマントルのエネルギーを地殻に放出していたと考えている。しかし、なぜ地球はプレートテクトニクスが発達し、金星は発達しなかったのかという点は依然として謎に包まれている。
科学者たちは、2030年代に打ち上げ予定のNASAの金星探査機ベリタス(VERITAS)がこの疑問に答えを出してくれることを期待している。ベリタスは、1990年代に活躍したマゼランよりもはるかに強力なレーダーを搭載しており、金星の地形と地殻を詳細に調査できる。共に誕生した兄弟星である地球と金星がなぜこれほど異なる進化を遂げたのか、その決定的な手がかりをベリタスが見つけ出すかもしれない。