
14日(現地時間)、アメリカ各地で「反トランプ」を掲げる大規模なデモが行われ、数百万人が参加した。一部の地域では、デモ参加者に対する車両突入や銃撃事件も発生したと、15日に米メディアが一斉に報じた。
進歩系団体「ノー・キングス」集会の主催者側によると、全米50州の2,000カ所以上でトランプ政権に反対する抗議デモが行われ、数百万人が参加したとのことだ。
フィラデルフィア、ニューヨーク、シカゴなど主要都市では、それぞれ数万人規模の市民が都心部を行進したという。ほとんどの集会は平穏に行われたと各地の警察は伝えている。
しかし、一部では騒乱が発生し、複数の負傷者が出るなど、治安当局が対応に苦慮する場面もあった。
ユタ州ソルトレイクシティでは午後7時56分ごろ、約1万人が集まっていた都心部のデモ会場で銃撃事件が発生し、地元住民の39歳の男性が撃たれ、搬送先の病院で死亡したという。
警察によると、犯行に関与したとされるのは、AR-15系ライフルを所持して倒れていた24歳の男、アルトゥロ・ガンボアだと明らかにした。
事件直前、黒い服とマスクを身に着けたガンボアが不審な行動を取り、リュックから銃を取り出し操作を始めたところを、警備員が目撃していた。
警備員らは武器を下ろすよう命じたが、ガンボアは銃を構えたまま人混みに向かって走り出したという。目撃者によれば、発砲体勢で銃を構えていたという。
この状況に、警備員の1人がガンボアに向けて3発発砲し、そのうち1発がガンボアに命中した。しかし、別の1発が誤ってデモ参加者に当たり、無関係の市民が犠牲となった。
警察は現在も事件の捜査を続けているとのこと。
事件発生後、警察はデモ参加者に対し「安全かつ秩序正しく」現場を離れるよう呼びかけた。
現場の様子を撮影した映像には、銃声が響いた瞬間、群衆がパニックに陥って四方に逃げる姿が映っていた。
バージニア州カルペパー郡では、デモ参加者に向かってSUV車が突っ込み、1人が負傷した。運転していた21歳の男はその場で逮捕された。
またサンフランシスコでも、正午過ぎに集まっていた数千人のデモ参加者に車両が突っ込み、少なくとも4人が負傷する事故があったと伝えられている。容疑者は逃走後に拘束され、事情聴取を受けている。
オレゴン州ポートランドでは、夕方に一部のデモ隊が米国移民関税執行局(ICE)の庁舎前でデモを行い、連邦当局はデモ隊に向けて催涙ガスや閃光弾、ゴム弾を発射した。デモ隊もペットボトルなどを投げ返したため、警察は現場を「暴動」と認定し、少なくとも2人を逮捕した。
ラスベガスでは2か所のデモ会場で計15人が逮捕され、このうち1人は致死性のある武器を用いた重罪で起訴された。
ロサンゼルスでは夕方、都心部で行われていたデモに対し、警察が化学物質を使って解散させるよう試みたが、一部のデモ隊が石やレンガ、水筒などを投げて抵抗した。多くの参加者は夜間外出禁止令の時間に合わせて現場を離れたという。
ロサンゼルス市のカレン・バス市長は、CNNの取材に「都心部には約3万人が集まり、市内15か所で行われたデモも含め、全体的にはおおむね平和的だった」と述べた。
ロサンゼルス市警(LAPD)によると、14日から15日朝にかけては通行禁止令違反で35人を、解散命令への不服従や抵抗などの容疑で別の3人を逮捕したという。7日以降の8日間で、ロサンゼルス都心部のデモに関連して逮捕された人数は計561人に上るという。
テキサス州オースティンでは、民主党所属の州議員らが集会に参加する予定だったが、脅迫の通報があり、州議会庁舎が一時的に封鎖する事態となった。
またミネソタ州ミネアポリスでは、2人の州議員が相次いで銃撃される事件が発生し、予定されていた「ノー・キングス」集会が中止された。銃撃容疑者の車内からは「ノー・キングス」と書かれたチラシが見つかっている。