
韓国で、90代の寝たきり女性が介護ヘルパーから日常的に虐待を受けていた実態が防犯カメラによって明らかになり、波紋を広げている。女性は脳梗塞の後遺症で体を自由に動かすことができず、身を守る術もなかった。
24日、韓国メディア『JTBC』の報道番組『事件班長』が公開した映像は衝撃的なものだった。映っていたのは、ベッドで横たわる93歳の女性に対し、介護ヘルパーが突然平手打ちをし、手を噛み、腕をつねり、拳で殴るという一連の暴力行為だった。カメラには、女性が「痛い」と訴えるような表情を浮かべ、近くにいた母親がドアを叩いて助けを求める声まで収められていた。
被害女性の孫であるA氏は、「祖母は左腕しか動かせず、言葉も簡単な受け答え程度しかできない。それなのに突然体に痣ができ始め、何かおかしいと感じた」と語る。新たなヘルパーが配置されてからわずか1週間後のことだった。

録画映像には、ヘルパーが祖母を無視してテレビを見ながら笑っていたり、布団の上で脚を伸ばして寝転び、祖母のスペースを奪っている様子も記録されていた。さらに、祖母が食べていたお菓子を取り上げ、まるで犬に芸をさせるように一粒ずつ投げ、口でキャッチさせようとするシーンもあった。
A氏は「人として許されない行為。家族として本当に怒りが込み上げる」と声を荒げる。これらの映像を警察に通報した結果、ヘルパーは高齢者福祉法違反の疑いで立件され、事件は検察に送致された。しかし、検察は略式起訴という軽い処分にとどめ、現在もヘルパーは容疑を否認している。
本人は「叩いたのではなく軽く触れただけ。お菓子を投げたのはリハビリの一環だった」と釈明しているが、A氏は「祖母が涙を流し、食事も拒否するほどショックを受けた。あの表情を見て何も感じないのか」と憤る。
A氏は検察の略式処分に不服を申し立て、正式裁判を求めて裁判所に異議申立てを行う予定だという。
注目の記事