
12日間にわたり極秘裏に実施されたイスラエルのイラン核施設奇襲作戦「立ち上がる獅子たち」。その最前線に立った空軍パイロットが、沈黙を破って口を開いた。
イスラエルメディア『エルサレム・ポスト』が報じたのは、空軍予備役のパイロットA氏の証言だ。「明朝、所属部隊に集合せよ。これはイラン核施設に対する予防攻撃である」。何気ない日常の中、彼の携帯電話に届いたのはたった数行の短いメッセージだった。
「私たちは何年もイラン攻撃に備え、訓練を積んできた。でも、正直に言えばその日が来ないことを願っていた」とA氏は語る。極秘任務の性質上、妻や子ども、親しい友人にも一切打ち明けられなかった。「奇襲がすべてだ。話せば作戦が台無しになる」。家族と過ごす最後の夜も、平静を装うしかなかったという。
出発の朝、子どもたちに別れを告げるとき、彼は心の中で叫んでいた。「生きて帰ってくる」と。そんな彼に、妻は穏やかに「あなたのやるべきことをして。私たちは待っているから」と送り出してくれた。
任務中、約3万フィート(約9キロメートル)上空から見下ろしたテヘランの街は、想像とは裏腹に静かだった。「地上の人々は恐怖の中にいたはず。でも、上空は不思議なほど静寂だった。まるで写真の中にいるような気がした」と振り返る。
無事に帰還したとき、A氏はようやく肩の力を抜くことができた。「この国の未来を背負って空を飛んだ。その責任を果たせたことに、これ以上の喜びはない。イスラエルは、必要ならば何でもやり遂げる国だと証明できた」。
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