クレジット・デビットカード導入を検討中
ソーシャルメディア「X(旧Twitter)」が、クレジットカードやデビットカードなどの金融サービス導入に意欲を示している。今後はX上での飲食代の決済や投資なども可能になる見通しだ。これは、Xのオーナーであるイーロン・マスク氏が目指す「スーパーアプリ」構築に向けた金融サービス拡大の一環だ。
20日、「フィナンシャル・タイムズ」など海外メディアの報道によると、Xの最高経営責任者であるリンダ・ヤッカリーノ氏は、近いうちにXでユーザーが投資や決済などの金融取引を行えるようになると明らかにした。ヤッカリーノ氏はインタビューで、「ユーザーはXにアクセスし、プラットフォーム上であらゆる金融活動を行えるようになる」とし、「昨夜みんなで食べたピザ代の支払いから、投資や取引に至るまで、すべてX上で可能になる」と語った。
また、Xへのクレジットカードやデビットカード機能の導入も検討中で、早ければ年内にも実現する可能性があると付け加えた。

Xの金融サービス進出は、マスク氏がXを中国の「WeChat(ウィーチャット)」のように、メッセージ、決済、ショッピングなどを統合した「スーパーアプリ」に育てようとする構想と軌を一にしている。
これに先立ち、Xはすでに米Visaを最初のパートナーとして選定し、デジタルウォレットおよび個人向け決済サービス「X Money(Xマネー)」を年末までに導入する予定だと発表している。
ヤッカリーノCEOは、「Xマネーはまず米国で発売され、その後他の地域へと拡大していく」とし、「ユーザーがプラットフォーム上で商品を購入したり、資金を保管したり、クリエイターにチップを送ることも可能になる」と強調した。
ただし、Xが本格的に金融分野へ進出する場合、ライセンスの取得やマネーロンダリング対策規制など、複雑な法的課題に直面する可能性があるとの指摘もある。
一方、Xの金融サービスへの動きが、近年続いている広告主の離脱と無関係ではないとの見方も出ている。マスク氏が2022年にXを約440億ドル(約6兆4,959億4,000万円)で買収して以降、多くの広告主が離れ、Xは現在財政的な困難に直面している。広告はXの主要な収益源だが、当時の広告主たちはマスク氏のコンテンツ管理方針に問題があると指摘していた。自社広告が不適切なコンテンツの隣に表示される可能性を懸念していたのだ。
さらに最近では、Xが広告を出稿しない企業に対し訴訟をちらつかせて脅しをかけたという疑惑も浮上している。
これに対しヤッカリーノCEOは、「マスク氏による買収以前の広告主のうち96%がすでにXに復帰している」と述べ、「近いうちに2022年レベルの広告収入を急速に回復できる見込みだ」との見解を示した。
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