家族を指揮して英国全土に大量の麻薬を供給し、世間を騒がせた“ギャングスターおばあちゃん”とその子どもたちが、そろって実刑判決を言い渡された。
英メディア「スカイニュース」などによると、ロンドン・ウーリッジ刑事法院は18日（現地時間）、麻薬供給に関する共謀の罪で起訴されたデボラ・メイソン被告（65）に対し、懲役20年の判決を言い渡したという。
“女王蜂（Queen Bee）”の異名で知られるメイソン被告は、2023年4月からおよそ7カ月にわたり、「バグジー」と呼ばれる上位供給者からコカインを受け取り、ロンドンやブラッドフォード、レスター、バーミンガム、ブリストル、カーディフなど英国各地に約1トンものコカインを流通させたとされる。
その末端価格は8,000万ポンド（約159億円）に上ると、英紙『ガーディアン』は報じている。
この大規模な麻薬取引には、メイソン被告の家族も関与していた。裁判所は、メイソン被告と共謀した実姉のティナ・ゴールディング被告に懲役10年、さらに子どもたちであるデミ・ブライトとロザン・メイソンに懲役11年、リリー・ブライトに懲役13年、レジ・ブライトに懲役15年の判決をそれぞれ言い渡した。
そのほか、レジのパートナーであるデミ・ケンダルには懲役13年6カ月、デミの友人であるアニータ・スロッターには懲役13年が言い渡されている。妊娠中のリリーのパートナー、クロイ・ホジキンに対する判決は延期された。
彼らはいずれも麻薬の運搬や現金の回収といった役割を担い、メイソン被告の指示のもとで組織的に犯行を繰り返していた。中には子どもを連れて麻薬の受け取りに向かうケースもあったという。
判決を言い渡したフィリップ・ショロック判事は、「あなたは現場責任者として、組織的な麻薬供給に深く関与していた」と指摘したうえで、「母親として本来、子どもたちの模範となるべき立場でありながら、彼らを犯罪に引き込んだ」と厳しく非難した。
英国検察庁のロバート・ハッチンソン特別検察官も、「この家族は普通の家庭ではなかった」と述べたうえで、「メイソン被告は家族を守るどころか、彼らを組織犯罪に巻き込み、ついには全員を刑務所送りにするほどの大規模な犯罪ネットワークを築き上げた」と批判した。
メイソン被告は、ロンドン北部タフネル・パークにある自宅を拠点に、この大規模な麻薬供給ネットワークを指揮していたとされる。
捜査を主導したロンドン警視庁のジャック・クラウシャー刑事は、「非常に巧妙で、関係者に莫大な利益をもたらした作戦だった」と指摘したうえで、「数カ月にわたって粘り強く追跡した結果、関係者の逮捕と有罪立証に成功した」と語った。
さらに、「この摘発によって、英国全土へのさらなる麻薬の拡散を食い止めることができた。麻薬は暴力や反社会的行動、地域社会の苦しみを生むものであり、今回の摘発は極めて重要な意味を持つ」と強調した。
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