
米ミシガン州の検察は、ウォルマートで11人を刃物で刺した男に対しテロ容疑を適用した。この容疑は9.11テロ直後に導入されたものの、過去20年間でミシガン州の裁判所で適用された例はほとんどない。
Newsisの報道によると、現地時間28日、AP通信が検察関係者の証言をもとに「地域社会全体に恐怖を与え、日常生活を変えようとする意図があった」として、今回の事件にテロ容疑を適用した理由を検察が明らかにした。
しかし、容疑者のブラッドフォード・ギリー(42歳)には精神疾患の既往歴があり、容疑の立証は難しいとみられている。裁判所は犯行前日に本人や他人に危害を加えるおそれがあると判断し強制入院を命じたが、警察が所在を把握できず、事件発生を防げなかった。
検察はテロ容疑に加え、被害者11人に対する殺人未遂容疑も適用している。ギリー容疑者は法廷で無罪を主張し、保釈金は10万ドル(約1,485万円)に設定された。
法廷でギリー容疑者は「タバコ会社は人を殺すためにタバコにガラス繊維や化学物質を混入させている。そんな連中に私を責める資格はない」と法廷で主張した。
一方、ミシガン州議会は2001年の9.11テロの翌年に反テロ法を新設・改正した。州のテロ法では、テロ行為とは、市民社会に恐怖を与えたり、政府やその関連機関の行動に影響を及ぼそうとする目的で行われる犯罪と定義されている。
州内で最も人口の多いウェイン郡の検察でさえ、この条項を一度も適用したことがないほど、ミシガン州でのテロ容疑の適用は極めて稀である。有罪となった場合、最高で終身刑が科される可能性がある。
この条項が実際に適用された代表的な例が、2021年のオックスフォード高校銃撃事件だ。当時15歳だったイーサン・クランブリーは、生徒4人を殺害し、多数に負傷を負わせた罪でテロや殺人の容疑を認め、現在は終身刑に服している。
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