
女子スポーツにおける「トランスジェンダー出場禁止」の動きが一段と加速している。ドナルド・トランプ米大統領は6日(現地時間)、2028年ロサンゼルス五輪で女子競技出場選手への遺伝子検査導入を強く示唆したと『ニューヨーク・タイムズ』などが報じた。
トランプ大統領はこの日、LA五輪タスクフォースの発足を命じる大統領令に署名し、米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)のジーン・サイクス会長に感謝を述べたうえで「米国は五輪で男性が女性のトロフィーを奪うことを許さない」と強調。「非常に厳格な検査を実施し、それを通過できなければ出場できないだろう」とし、女子部門での遺伝子検査実施に言及した。
USOPCは先月23日、トランプ大統領の2月の大統領令に基づき、国内大会でのトランスジェンダー選手の女子競技出場禁止を発表。声明では明確な表現を避けつつも、大統領令の方針と一致していると説明した。ロサンゼルス五輪では、ボクシングを統括するワールドボクシングと世界陸上連盟がすでに遺伝子検査の導入を決定している。
近年、トランスジェンダー選手の女子競技出場をめぐる議論は世界的に高まっている。2024年パリ五輪では、女子ボクシングのイマネ・ケリフ(アルジェリア)と林郁婷(台湾)の性別をめぐる論争が勃発。国際ボクシング協会(IBA)が「他の女性選手より有利」として両者の出場資格を剥奪したが、いずれも出生時から女性として登録されていたことが判明した。
また、非手術のトランスジェンダー選手リア・トーマスは、今年2月の大統領令により大学水泳競技での全記録が抹消された。ペンシルベニア大学は記録削除とともに、彼女の出場で不利益を受けた女性選手への謝罪を表明している。
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