
アフリカ西部ガンビアで、生後1か月の女児が女性性器切除(FGM)を受け死亡した。FGMは同国で法的に禁止されているが、依然として広く実施されている実態が浮き彫りとなった。
12日(現地時間)、AFP通信は、ガンビア警察が10日に発表した声明で「FGMを受けたとみられる生後1か月の女児が重度の出血で首都バンジュールの病院に搬送されたが、到着時には心停止状態で、その後死亡が確認された」と伝えた。
警察によると、事件は西部の都市ウェリンガラで発生し、関係者とされる女性2人が拘束された。事件は、ガンビアに根強く残る文化・宗教的慣習であるFGMに反対してきた女性人権活動家の強い反発を招いた。
国際人権団体イクオリティ・ナウの人権弁護士サンタナ・シミユ氏は声明で「FGMは守るべき文化的伝統ではなく、命を奪い得るジェンダーに基づく暴力の一形態だ」と述べた。
ユニセフの2024年統計によると、ガンビアは世界でFGMの実施率が最も高い国の一つで、15歳~49歳の女性の73%が経験している。その結果、同国の女性は高い死亡リスクにさらされている。
英国バーミンガム大学の研究チームが2023年に発表した報告書は、FGMが行われる国々で毎年約4万4320人の少女や若い女性がFGMにより死亡していると推計している。
現在亡命中のヤヒヤ・ジャメ元大統領は2015年に、FGMは時代遅れでイスラムの義務ではないとして禁止し、議会も初めてFGM禁止法を制定した。同法に違反した場合、3年以下の懲役刑が科される可能性があるが、実際の法執行はほとんど行われていないとされる。
ガンビア議会は昨年7月、FGM問題を再検討した結果、宗教的伝統主義者の圧力にもかかわらず、2015年制定の禁止法を支持した。ただし、同禁止法には違憲審査が請求されており、現在裁判所で審理中だ。
シミユ弁護士は「ガンビア最高裁判所がFGM禁止法を違憲と判断すれば、女性や少女の福祉に深刻な悪影響が及び、法的保護を失うことになる」と警告した。
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