「トイレ我慢できないと思ったけど…この飴のおかげで心配が消えた」SNSで話題に

「この飴のおかげで3時間の映画を観る間、トイレを我慢できた」、「175分の映画を観る前に話題の飴を食べたら集中できた気がする。」、「尿意が気になるときに効果があるようだ。飛行機や電車に乗るときに重宝しています」こうした声がSNS上に相次ぎ、「尿意を抑える飴」が大きな話題を呼んでいる。

話題となっているのは、今年で発売100周年を迎えたセイカ食品の「ボンタンアメ」だ。爽やかな風味が特徴のこの飴は、もち米や水あめに加え、鹿児島県阿久根市の柑橘類「ボンタン」から抽出したオイルなどが原料となっている。
ボンタンは柑橘類の一種で、グレープフルーツと似た形状と味わいを持ち、厚く硬い皮に包まれた果肉は甘くて果汁が多い。阿久根市が代表的な産地として知られる。
100年にわたり幅広い世代に愛されてきたボンタンアメだが、最近になって「食べたら長時間トイレに行かなくて済んだ」という体験談がネット上で広がり、改めて注目されるようになった。
Xには「暑くて飲み物をたくさん飲んだのにトイレに行かずに済んだ」、「効果がある気がする」、「前回買ったボンタンアメを食べきったのでまた買った」といった投稿が相次ぎ、共感を呼んでいる。
人気の背景には映画の存在もあるという。
日本国内の映画興行ランキングで上位を占める『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の155分、在日コリアン3世のリ・サンイル監督が手がけた『国宝』の175分など長時間の作品が相次いで公開されている。
観客が上映中に席を立たずに集中したいと考えることも、ボンタンアメの需要を後押ししている。映画観賞前にボンタンアメを持参したことを証明する写真をSNSに投稿する人も現れている。


コンビニなどでは「ボンタンアメ」専用の陳列コーナーが設けられ、映画館近くの店舗では「ネットで話題!」、「爆売れ中」といった宣伝文句とともにボンタンアメが大量に積まれて販売されている。
「ボンタンアメ」の効果
実際にボンタンアメに尿意を抑える効果はあるのか。
東京・新橋で消化器内科・泌尿器科を開業する伊勢呂哲也医師は「医学的に明確な根拠はない」と指摘する。
伊勢呂医師によれば「糖分を多く含むため血糖値が上昇すると、一時的に体が水分を細胞内に取り込もうとし、排尿までの時間がやや延びる可能性はある。ただし糖分を過剰に摂取すれば、最終的に血糖値を下げるため尿量が増える現象も起こる。そのため『トイレ対策』として甘いものを積極的に勧めることはできない」という。
さらに「お守り程度に少量食べるのは構わないが、SNSで広まった体験談をきっかけに、プラシーボ効果(心理的な期待だけで症状が改善する現象)が今回のような社会現象になったのではないか」との見解を示した。

伊勢呂医師は尿意を抑えたいときの飲料として「カフェインを含まない麦茶やルイボスティー、水など」を挙げ、加えて「牛乳やヨーグルト飲料などの乳製品は吸収が比較的遅く、水や茶より長く我慢できる可能性がある」と説明する。ただし「一度に大量に飲むと体が不要な水分と判断しすぐ尿になる。少量ずつ分けて飲むことで尿意を感じにくくなる」とも助言した。
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