大阪・道頓堀で大規模火災、消防士2人が死亡
大阪の代表的な観光地で、外国人観光客にも人気の道頓堀で大規模火災が発生。消火活動中の消防士2人が命を落とした。

NHKは18日午前10時頃、大阪市中央区の道頓堀に面した7階建てと5階建てのビルで火災が発生したとニュースで報じた。
現場映像には、道頓堀川沿いの建物から黒煙と共に激しい炎が立ち上る様子が捉えられていた。
目撃者の40代男性は「観光中に突然の衝撃音。振り返ると真っ赤な炎が上がり、煙が立ち込めていた」と当時の状況を語った。
大阪市消防局は消防車など70台を緊急出動し、約3時間に及ぶ消火活動の末、鎮火に成功した。焼失面積は約110㎡に及んだ。
不幸にも、消火活動中に消防士5人と付近にいた女性1人が病院に搬送され、うち消防士2人が死亡した。
大阪市消防局によると、死亡したのは小隊長の森貴志消防司令(55)と長友光成消防士(22)だった。
2人は7階建て建物の1階から進入し、消火活動をしながら階段で上層階へ向かったが、その後連絡が途絶えた。
最終的に、2人は6階で意識不明の状態で発見された。
他の負傷者4人は命に別状はないという。
横山英幸大阪市長は「懸命な消火活動中に消防士が命を落としたことは痛恨の極みだ」と深い哀悼の意を表明。
さらに「早期鎮火を目指す中で建物の一部が崩壊し、避難中に亡くなったと報告を受けている。出口に向かえず他階に移動した結果、呼吸困難に陥ったのではないか」と説明。今後、徹底調査を行い再発防止に努める意向を示した。
専門家の見解:「現場の安全管理の検証が不可欠」
元東京消防庁職員で市民防災研究所の坂口隆夫理事は「映像を見る限り、初期段階から火の勢いが非常に激しかった。一気に燃え広がったのではないか」と分析。「想定を超える煙と炎の急拡大があったとみられる」と指摘した。
坂口理事は「消防隊員が燃焼中の建物に進入するのは、要救助者がいるなど、やむを得ない場合に限られる」と説明。今回の事故について「避難経路が遮断されたとされるが、基本的な安全管理がどこまで徹底されていたか、隊員進入時に緊急脱出が可能だったかなど、今後徹底的に検証すべきだ」と強く訴えた。

道頓堀は大阪ミナミの象徴的な繁華街で、特に韓国人をはじめとする多くの外国人観光客に人気の名所だ。今回の火災事故は、現地の観光客や商店主らにも大きな衝撃を与えている。
警察と消防局は現在、詳細な出火原因と被害状況の調査を進めており、人的被害が追加で発生していないことを確認している。
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