イノシシの皮を剥いでみると…青い光を放つ肉に「衝撃」
米カリフォルニア州で、イノシシの肉と脂肪が鮮やかな青に変色する衝撃的な事例が確認され、現地保健当局が警戒を呼びかけている。
KTLAやナショナルジオグラフィックなどの海外メディアは、今年3月、カリフォルニア州モントレー郡で狩猟者と住民が体内組織が「ネオンブルー」に染まったイノシシを発見したと報じた。
現場で直接死骸を解体した野生動物管理会社「アーバントラッピングワイルドライフコントロール」のダン・バートン代表は「筋肉がブルーベリーの実のように鮮やかな青色に染まっていた」と語り、すぐにカリフォルニア州魚類野生生物局(CDFW)へ通報した。
CDFWの調査により、イノシシが「ジファシノン(diphacinone)」という抗凝固剤系の殺鼠剤を摂取した可能性が高いことが判明した。この物質は、ネズミやリスなどの齧歯類の個体数を減らすために一般的に使用され、識別用に青い染料が添加されている。

「調理しても毒性が残留…人間にも動物にも危険」
CDFWは声明で、イノシシが直接殺鼠剤の餌を摂取したか、中毒した齧歯類を摂食することで体内に毒性物質が蓄積されたとみられると明らかにした。
また、ネオンブルーの変色は中毒の兆候である可能性があるが、すべての個体に見られるわけではなく、調理しても毒性は残るため、摂取すると人間も動物も中毒の危険があると警告している。
ナショナルジオグラフィックは、ジファシノンが鼻血、歯茎からの出血、血尿、腹痛など深刻な内出血を引き起こし、最終的には死に至る可能性があると報じた。また、2023年の研究によると、致死量に達するには繰り返し摂取する必要があるものの、汚染された肉を食べた場合、無気力などの中毒症状が即座に現れる可能性があるという。
2015年にも報告…当局は即時通報を要請
実は、こうした事例は今回が初めてではない。2015年にも同じ地域でネオンブルーに変色したイノシシが報告され、2018年の調査では野生のイノシシの約8.3%から殺鼠剤の残留物が検出された。
カリフォルニア州はこうした懸念から2024年よりジファシノンの使用を禁止したものの、最近までモントレー郡全域で類似の通報が相次いでいる。これを受け、当局は狩猟者や住民に対し、ネオンブルーの肉を発見した場合は絶対に摂取せず、速やかに通報するよう繰り返し呼びかけている。
専門家は、齧歯類の個体数を調整するために使われる殺鼠剤が意図せず野生動物の生態系全体に広がり、クマやシカ、猛禽類まで中毒の危険にさらされていると警告している。
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