
まさかの瞬間が訪れた。大谷翔平(31・ドジャース)が、試合中に野次を飛ばし続けたサンディエゴファンに自ら歩み寄り、笑顔でハイタッチを交わしたのだ。
大谷は25日(日本時間)、カリフォルニア州サンディエゴのペトコパークで行われたパドレス戦に「1番DH」で先発出場。勝負を決めたのは9回表、左腕・松井裕樹との日本人対決だった。
カウント1-2から放たれた151キロのフォーシームを完璧に捉え、打球は右中間スタンドへ。シーズン45号はドジャースに追加点をもたらし、8-2と突き放す一撃となった。
ホームを踏んだ大谷はベンチへ向かう途中、突然観客席のサンディエゴファンに歩み寄りハイタッチ。ユニフォームはフェルナンド・タティスJr.。普段なら見せない行動に、ロバーツ監督も思わず驚きの表情を浮かべた。


実はこのファン、試合中ずっと大谷に野次を浴びせ続けていた。ロバーツ監督は「右耳の横で一晩中騒ぎ続けて本当にうるさかった。だが大谷は逆に歩み寄ってハイタッチを返した。普段の彼らしくはなかったが、人間味が出ていて痛快だった」と振り返った。
チームメイトのフレディ・フリーマンも「ずっと野次を浴びせられていたのに、最後にやり返した。その姿にスカッとした」と称賛。『中日スポーツ』も「大谷が近づけばファンもハイタッチせざるを得ない。ベンチに戻ってからも『見ただろ?』とばかりにポーズ。茶目っ気すら超一流だった」と報じた。
ファンを黙らせたのは豪快なホームランだけではなかった。あえて手を差し出すことで、挑発をユーモアに変えてみせた。その姿には確かに「品格」があった。
昨季、史上初の50本塁打50盗塁を達成した男は、今季も止まらない。128試合で打率.280、出塁率.389、長打率.619、OPS1.008、45本塁打、84打点、17盗塁。投手としても10試合に登板し27回1/3を投げ、防御率4.61を記録。二刀流の存在感を示しながら、ナ・リーグMVPを射程に収める。
そしてこの日の勝利で、ドジャースはサンディエゴと並びナ・リーグ西地区の首位に立った。

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