「岩壁を登る魚」…数千匹のバンブルビーキャットフィッシュの群れに驚き


体長9cmにも満たないバンブルビーキャットフィッシュ数千匹が、高さ4mに及ぶ岩をよじ登る姿がカメラに捉えられた。
アメリカの科学専門メディア「ライブサイエンス」によると、ブラジルのマットグロッソ・ド・スル連邦大学のマノエラ・マリニュ教授は最近、学術誌『ジャーナル・オブ・フィッシュ・バイオロジー(Journal of Fish Biology)』に、バンブルビーキャットフィッシュの行動を研究した論文を発表したという。
リアコグラニス属は、アマゾン、オリノコ、ラプラタなどの流域に生息する9種の小型ナマズで、個体数が少なく観察例が限られるため、その行動に関する研究はほとんど進んでいなかった。

しかし昨年、マットグロッソ・ド・スル州の環境軍警が、分類される「バンブルビーキャットフィッシュ(Bumblebee Catfish; 学名 Pseudopimelodidae)」数千匹を発見し、研究チームに報告した。
現場調査に赴いたマリニュ教授が目にしたのは、数千匹の小魚がサケのように逆流を泳ぐのではなく、滝のそばで濡れた岩肌をよじ登る姿だった。
観察してみたところ、バンブルビーキャットフィッシュは日中ではなく夕方からのみ岩壁を登ることが判明したという。暑い午後は岩陰に潜み、午後6時ごろ日が沈み始めると、数千匹が一斉に岩壁を登り始めるという独特の行動を見せた。
川と繋がる小さな水たまりに集まった魚たちは垂直にそびえる岩に飛びつき、群れが密集すると互いの体の上をよじ登ることもあった。挑んだ岩の高さは1~4mに及んだという。
研究チームが岩の上にバケツを設置すると、魚たちがその中に入り込む場面も見られた。
彼らはヒレを広げて左右に揺らしたり、尾を素早く動かしたりしながら前進し、体と岩の間に負圧を作って吸着しつつ壁を登っていった。
リアコグラニス属の他の8種は流れの速い川に生息しており、行動に関する研究は進んでいなかったという。
今回、バンブルビーキャットフィッシュが群れをなして「岩壁登り」を行う様子を観察した研究チームは、この行動が産卵と関係している可能性が高いと説明している。登っていたのは雌雄ともに成魚が大半で、この行動は乾季が終わり雨季が始まる11月から観察された。
マリニュ教授は「全ての兆候がこの行動が繁殖のためであることを示している」とし「この地域で長期にわたる深刻な干ばつが続いた直後に登攀が始まった。急激な水位上昇をきっかけに産卵が始まり、これまで見られなかった規模で魚が集まったと考えられる」と説明している。
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