
クマによる被害が相次ぐ中、今後は地方自治体の判断により市街地内でも散弾銃を使用し、クマやイノシシなどの「危険な野生動物」を捕獲できるようになった。
読売新聞は改正鳥獣保護管理法が1日に施行され、「緊急銃猟制度」が新たに導入された。
これまでの法律では、住宅密集地域など市街地での銃猟を禁止していた。クマを射殺するのは、警察官職務執行法に基づく警察の指示を受けるか、刑法上の「緊急避難」に該当する場合に限られていた。
そのため、対応の遅れや、発砲後に捕獲者が違法性を追及される事例があり、法改正の必要性が指摘されてきた。
政府は昨年、市街地での散弾銃の使用条件の緩和を決定。議論を重ねた末、今年、改正案を公布し、この日から施行された。
環境省は先月、発砲要件として▲人の生活圏への侵入または侵入の恐れが高い場合▲緊急性がある場合▲銃以外の方法で捕獲が困難な場合▲住民に危害を及ぼす恐れがない場合などを示した。
各自治体も対応体制の構築に乗り出した。
岩手県盛岡市は国の指針に従いマニュアルを改訂し、住民の避難や通行規制など安全確保措置を整えた。
岩手県は「緊急銃猟対策チーム」を新設し、自治体の手続きや訓練を支援。今秋には模擬訓練も実施する予定だ。
しかしながら、猟師の人材不足が依然として課題となっている。
クマの出没が頻繁な花巻市猟友会は、会員約140名を抱えているが、市街地内で発砲可能な人員はわずか10名で、全員が70歳以上だという。
若い世代を対象に安全教育や射撃訓練を行っているものの、実際の現場では高齢のベテランに頼らざるを得ない状況だ。
一方、岩手県でのクマの出没件数は急増している。
報道によると、今年7月末時点でのクマの出没件数は2,586件で、前年同期比593件増。7月単月では1,024件に達し、昨年同月の2倍となった。
先月3日時点での人的被害は12件に上り、すでに昨年の年間被害を上回っている。
昨年7月には北上市で高齢住民が自宅でクマに襲われ死亡。奥州市では畑で農作業中の高齢女性が重傷を負う事故も発生している。
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