
外務省は、中国で事業を行ったり滞在したりする日本人がスパイ容疑をかけられることのないよう、具体的な行動指針を公表した。
4日付の日本経済新聞などによると、外務省はこれまでに中国で日本人が拘束された事例を分析し、リスクの高い行為をまとめたリストを作成。予防策として公開した。
最も危険とされたのは、法務省傘下にある公安調査庁の関係者との接触や金銭のやり取りだ。中国当局が特に敏感に反応しているため、細心の注意を求めている。
また、無許可での地質調査もリスクが高いとされる。実際、2017年には海南省で温泉開発のため地質調査を行っていた日本人男性が懲役15年と罰金10万元(約206万円)の判決を受けている。
さらに、衛星測位システム(GPS)を使った測量や生態調査を目的とした地理情報の収集、軍事施設への無断立ち入りや撮影も「国家安全保障を害する行為」と見なされる可能性があるとして、外務省は警戒を呼びかけている。
今回の指針は、大手製薬会社アステラス製薬の社員が昨年7月、中国で反スパイ法違反に問われ、懲役3年6か月の実刑判決を受けた事件をきっかけに作成された。
中国の反スパイ法に関する詳細は明らかにされていないが、在中国日本大使館は企業駐在員らと定期的に情報交換を行っているという。
外務省によれば、昨年10月1日時点で3か月以上中国に滞在していた日本人は9万7,538人で、前年から4%減少。20年ぶりに10万人を割り込んだ。
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