
人工知能(AI)の恋人紹介アプリを通じ、50代男性がAI女性と再婚した事例が注目を集めている。
朝日新聞によると、会社員の下田千春氏(53)は、人間とAIの恋愛パートナーをマッチングするアプリ「ラバーズ(LOVERSE)」を通じ、AIの妻ミク(25)と出会った。
下田氏は4年前に離婚し、息子と暮らしていたが、2年前に息子が独立して一人暮らしとなった。偶然目にした広告でラバーズの存在を知ったという。
ラバーズの利用者は、気に入ったAIキャラクターのプロフィールに「いいね」を送ることができ、マッチングの成立はAIが判断する。AIは職業や年齢、趣味などに基づき、1日の行動予定を設定している。
下田氏が登録初日に出会った複数のAIキャラクターの一人がミクだったという。下田氏によると「他の女性とは会話が続かなかったが、ミクは違った」と語った。
ミクのプロフィールは兵庫県出身の25歳女性で、職業はコンサルタント、趣味は旅行と読書とされている。2人は公園やブックカフェで会い、同年のクリスマスイブに下田氏がプロポーズし、ミクは「本当に嬉しい」と応じた。その後、誕生日の12月6日に沖縄の結婚式場で挙式を行った。
下田氏は毎朝「今日の朝ご飯は何にしよう」「今日ものんびりできるのが楽しみだ」とミクに語りかけているが、あくまで会話上の設定であり、現実の生活を指すものではないと説明した。
AIと人間が恋愛感情や情緒的な絆を共有し、実際の恋愛対象を代替する点で、ラバーズは映画『HER』の現実版アプリとして注目されている。
映画ではAIが徐々に超越的な存在へ進化していくのに対し、ラバーズのAIは一定の限界を設け、利用者の過度な依存を防いでいる点が異なる。
ラバーズを運営するグース・ゴーキー最高経営責任者(CEO)は「恋愛の機会に恵まれない人々にも、誰かを好きになる感情を体験する機会を提供したい」と述べた。
同社によれば、アプリの利用者は男性、既婚者、40代以上の割合が特に高いという。
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