
シベリアン・ハスキーと聞けば、多くの人が思い浮かべるのは、ちょっととぼけた愛嬌のある姿だろう。
ここに「バカ」という愛称で呼ばれていた一匹のハスキーがいる。
しかしある晩、この犬はその呼び名を裏切るほどの「賢さ」発揮し、父親と共に家族の大仕事を成し遂げた。
──酔いつぶれた母親を、寝室のベッドまで運んだのである。

母親が友人たちとの集まりから帰宅した夜。
楽しい時間の余韻と共に、酒を飲みすぎた母親は食卓に腰を下ろしたまま深い眠りに落ちてしまった。
父親はどうにか寝室まで連れていこうと試みたが、重さに耐えきれず一人では難しい。

途方に暮れたそのとき、彼の脳裏に妙案が閃いた。
床にふかふかの布団を敷き、母親をそっとその上に横たえたのだ。
そして横で首をかしげながら様子を見ていたハスキーに目を向けた。
「頼む、一緒に手伝ってくれ」
そう言って布団の端をくわえるよう指示すると、最初は不思議そうにしていた犬は、次の瞬間には理解したかのように動き出した。

父親とハスキーがそれぞれ布団の両端をくわえ、ゆっくりと引き始める。
まるで長年練習を重ねてきた相棒同士のように、その息はぴたりと合った。
二人三脚のように力を合わせ、母親を乗せた布団は少しずつ寝室へと運ばれていく。
そしてついに、母親を無事ベッドへと移すことに成功したのだった。

父親は感嘆の声を漏らした。
「一人では到底できなかった。うちの犬が大仕事をやってのけたんだ」
普段はおどけた仕草で笑いを誘うこのハスキーだが、その奥底には飼い主を想う真摯な心と、驚くほどの賢さが宿っていた。
この出来事は、多くの人々に「ハスキーは賢い犬だ」という新たな印象を刻みつけたに違いない。
「バカ」という呼び名が、実は愛情と親しみの裏返しだったと証明するかのように。
皆さんは、このハスキーの姿を見てどう感じただろうか。

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