
衣装ダンスの奥から娘の古いパジャマを取り出したとき、ふと「もったいないな」という気持ちがわき上がった。もう小さくなって着られなくなったけれど、そこには娘の思い出がぎゅっと詰まっていて、簡単に捨てることができなかった。
どうしようかと悩んでいたとき、ふと妙案が浮かんだ。「うちの猫に着せてみたらどうだろう?」
好奇心に負けて、ピンク色のいちご柄パジャマを猫にそっと着せてみる。最初は違和感があるのか体をよじっていたが、やがて安心したように丸くなり、いつの間にか夢の中へ。そんな姿に思わず笑みがこぼれた。

パジャマ姿の猫は、まさに可愛さの極みだった。レースのついた襟がふわふわの毛並みにちょこんと乗り、小さな体にぴったり馴染んで、まるでオーダーメイドのよう。ソファに転がりながら眠る姿は、どんなぬいぐるみより愛らしかった。
特に目を奪われたのは、窮屈になったお尻部分からふわふわの尻尾がぴょこんとはみ出している様子。眠りながら小さな足をぴくぴく動かし、ゴロゴロと喉を鳴らすその姿は、見ているだけで胸が温かくなった。

捨てるはずだったパジャマを猫に着せてみた小さな試みは、思いがけず大きな幸せを運んできた。古い服は新しい役割を得て、猫にとって大切な一着となったのである。
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