皮膚細胞から卵子生成に成功…卵子のない女性も妊娠可能に?

皮膚細胞のDNAを用いて人間の卵子を受精させる方法
①患者の皮膚細胞から核(DNA)を抽出。
②「ミトマイオーシス」という過程で、抽出した核から染色体(2セット、計46個)のうち1セットを除去し、卵子と同様の単一染色体セット(23個)を作成。
③この処理済み核を、核を除去した提供者の卵子に移植。
④この卵子は精子の23個の染色体と結合し、受精可能となる。
皮膚細胞から機能的な卵子の生成に成功した画期的な研究結果が発表された。生物学的母親の卵子なしで子どもを産める可能性を示唆し、大きな注目を集めている。
今年9月30日(現地時間)、英国デイリー・メールの報道によると、米国オレゴン健康科学大学の研究チームは最近、皮膚細胞から受精可能なヒト卵子の生成に成功したと発表した。
この研究は、ヒト体細胞(皮膚細胞)から卵子生成に成功した世界初の例であり、実際に受精および初期胚発生まで確認された。
皮膚細胞から機能的な卵子を作る方法は以下の通りである。
まず、卵子を作りたい対象(例:卵子のない女性)の皮膚細胞から核(DNA)を抽出する。
次に、「ミトマイオーシス(mitomeiosis)」という手法を用い、抽出した核から染色体の半分(23個)のみを残す。ミトマイオーシスは、体細胞が持つ染色体(2セット、計46個)から1セットを除去し、卵子と同じ単一染色体セット(23個)を再現する方法である。
その後、この処理済み核を、核を除去した提供者の卵子の殻に移植する。ここで使用される提供者の卵子は、遺伝情報ではなく細胞構造のみが利用され、実際の子どもの遺伝情報には影響を及ぼさない。
現状の技術では皮膚細胞から卵子の核は作製可能だが、卵子特有の細胞質や構造を完全に再現することはできない。そのため、これを補完する「殻」としての卵子細胞が必要となる。
研究チームはこの過程を通じて82個の機能的な卵子を生成し、実験室内で受精させることに成功した。
そのうち約9%は胚発生の初期段階である胚盤胞(blastocyst)まで成長した。胚盤胞は通常、体外受精において子宮への移植段階に相当する。
ただし、研究チームは胚盤胞を子宮移植に相当する時点以降の培養は中止した。
臨床試験に入る前に、安全性と有効性を確認するための追加研究が必要であるが、専門家たちはこの成果を、卵子に問題がある女性も自身の遺伝子を持つ子どもを持てる可能性を示す「画期的な進展」と評価している。
ただし、研究チームは今回の研究にいくつかの限界があると指摘している。特に、生成された卵子の大部分(91%)は受精後、発生が進まなかった。また、生成された胚盤胞の一部には染色体異常が認められた。
エディンバラ大学生殖健康研究所副所長のリチャード・アンダーソン教授は、本研究に参加していないが、今回の研究成果を重要な成果と評価した。
彼は「多くの女性が、がん治療など様々な理由で自身の卵子を失い、家族を持つことが困難な状況にある」と述べ、「皮膚細胞から新たな卵子を作成する能力は、生殖のパラダイムを変革する可能性を秘めた重大な進展だ」と語った。
さらに「本研究は、皮膚細胞の遺伝物質が受精可能で初期胚へと発生する卵子様細胞を生成できることを示している」とし、「依然として重要な安全性の課題は残るが、多くの女性が自身の遺伝子を持つ子どもを得る一歩に近づいた」と付け加えた。
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