世界の海が急速に変化している。人間の産業化によって引き起こされた地球温暖化が予想以上に進行しており、海洋生態系の核心であり、「海洋生物多様性の基盤」とされるサンゴ礁が、生存限界を超えているとの衝撃的な研究結果が発表された。数千種の海洋生物が依存するサンゴ礁が消失すれば、それは単なる一種の絶滅ではなく、海全体の崩壊につながる可能性がある。

13日(現地時間)、AFPとdpa通信によると、全世界23カ国の科学者160人以上が共同参加した研究チームは最新の報告書を通じて、地球の平均気温がすでにサンゴ礁の生存可能な熱的限界を超えていると発表した。彼らは地球の温度が産業化以前より1.4℃上昇した現在の状況を「取り返しのつかない段階に達している」と規定した。サンゴ礁が耐えられる臨界温度は1.2℃程度だが、人類はすでにその限界を超えたという。
報告書によると、過去2年間で全世界のサンゴ礁の80%以上が海水温の上昇による「白化現象」を経験した。白化現象は、サンゴが高温ストレスを受けて体内の共生藻を排出し、白く変わる現象である。表面的には単に色が変わったように見えるが、実際にはサンゴの生存機能が崩壊していることを意味する。一時的な白化は回復可能であるが、長期化するとサンゴは成長が停止し、病気に弱くなり、最終的には集団死に至る。
サンゴ礁は海洋生態系の基礎構造と呼ばれる。全世界の海洋生物の約4分の1がサンゴ礁周辺で生息したり餌を求めたりしている。サンゴ礁が消失すれば魚の産卵場と食物連鎖が崩壊し、これはすぐに海洋生物種全体の大幅な減少につながる。
問題はサンゴ礁の破壊速度が過去の予測をはるかに上回っている点である。科学者たちは地球の平均気温が1.5℃に達するとサンゴ礁の大部分が絶滅すると見込んでいる。現在の傾向が続けば、この時点は2030年代初頭に前倒しされる可能性が高い。気候モデルによれば、すでに一部の地域ではサンゴの復元が不可能なほど海洋酸性化が進行している。サンゴ礁の崩壊は海洋生物だけの問題ではない。サンゴ礁は台風・津波などの自然災害から沿岸を保護し、炭素を吸収して地球の温度バランスを維持する役割も果たしている。

今回の研究を主導したエクセター大学のティム・レントン教授は、地球の平均温度が1.5℃を超えると、追加的な破壊的臨界点の危険が急速に迫ると警告した。彼は、これまで気候変動は徐々に進行すると考えられていたが、臨界点を超えると非線形的崩壊が発生し、回復が不可能になると強調した。
実際、報告書が示した最初の臨界点はまさにサンゴ礁の崩壊である。その後、順次北極の海氷損失、グリーンランドの氷床崩壊、大西洋の海流変化、アマゾン熱帯雨林の崩壊などが続くと予測されている。
報告書は特に世界の気候生態系の核心軸の一つである大西洋子午面循環(AMOC, Atlantic Meridional Overturning Circulation)崩壊の可能性を警告した。AMOCは赤道の暖かい海水を北大西洋に運び、北の冷たい海水を南に下ろし、地球の熱バランスを維持する巨大な海流システムである。
この海流が弱まると北西ヨーロッパは急激に冷却され、「小氷期」レベルの寒冷化を経験する可能性がある。同時に南半球の一部地域は極端な猛暑にさらされ、アフリカと南アメリカのモンスーンパターンも不安定になると予測された。科学者たちは、従来の予測よりも数十年早くAMOCが崩壊する可能性があると見ている。

研究チームは陸上生態系もすでに臨界点に接近していると指摘している。アマゾン熱帯雨林は地球の二酸化炭素吸収量の10%以上を担っているが、高温と干ばつのために炭素排出源に転換する「逆転現象」が起きている。パリ協定が設定した2℃上昇目標に達する前にアマゾンが臨界点を超える危険が大きいという分析である。
これらの変化は最終的に地球生態系全体の連鎖崩壊につながる可能性がある。サンゴ礁が崩れ、海流が弱まり、アマゾンが消失すれば気候システムの調整能力が急激に低下する。科学者たちは、気候危機は単なる気温上昇ではなく、地球の循環システムそのものが崩壊していく過程だと総括した。
海水温は人間活動によって排出された温室効果ガスの90%以上を吸収している。このため、表層水温は持続的に上昇しており、微細プラスチックや海洋汚染物質もサンゴの生存を脅かす複合的要因として作用している。
一部の科学者は、気温上昇を1.2℃以下に抑えるためには、2030年までに炭素排出量を少なくとも45%削減する必要があると警告している。しかし現実的には各国の産業構造や政治的利害関係のために削減目標の達成は容易ではない。
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