ナイジェリア人男性、妻の身分証を使い病院に勤務
チェスター裁判所、懲役4か月・執行猶予1年を言い渡す

英国のある病院で、ナイジェリア出身の男性移民が妻の身分証を使って2か月間、看護師として勤務していたことが発覚し、衝撃を呼んでいる。
19日(現地時間)、英紙デイリー・メールなどによると、ルシウス・ンゾク(33)は、女性看護師の身分証を使い、英公的医療制度(NHS)傘下の病院で数か月にわたって勤務していた詐欺罪を認めたものの、実刑は免れたという。
ンゾクは2月から4月にかけて、チェシャー州にある「Countess of Chester Hospital」の救急外来で、看護師ジョイス・ジョージ(32)の名札をつけ、補助医療スタッフとして勤務していた。
ンゾクはジョージの名前と写真が入った名札を着用し、患者の身体を拭いたり衣服を替えたりするなど、基本的な看護業務を行っていた。周囲の職員は、ンゾクがジョージ本人ではないとは疑わなかったという。
しかし、ある患者が「あなたは本当にジョージさんですか」と尋ねたことをきっかけに正体が明るみに出た。ンゾクは「名前はジョージですが、実は男性です」と答えたという。
捜査の結果、ナイジェリア国籍のジョージは人材派遣会社を通じて同病院の面接を受け勤務していたが、その後ンゾクが自分の名前を使って代わりに勤務することを許可していたことが分かった。警察がジョージの自宅を捜索した際、ンゾクがその場におり、2人の携帯電話からは病院勤務のシフトに関するメッセージのやり取りも確認された。

チェスター治安裁判所はンゾクに対し、詐欺罪で懲役4か月・執行猶予12か月を言い渡した。また、80時間の無給奉仕活動と239ポンド(約4万8,488円)の訴訟費用の支払いも命じられた。
ンゾクの弁護人は「ンゾクは本来、資格を有する看護師だったが、安全審査が完了していなかったため正式採用されなかった」と主張した。そのうえで「病院側がンゾクの存在を把握していなかったのは驚くべきことで、管理体制にも問題がある」と指摘した。ンゾクは罪の重大性を認め、現在は看護関連の職を離れているという。
判事はンゾクに対し「あなたは安全審査が必要な職に虚偽の身分で就いた。たとえ業務に問題がなかったとしても、制度の信頼を損なう行為だ」と厳しく批判した。
検察側も「幸い被害はなかったものの、こうした不正なアクセス自体が重大な懸念事項だ」と述べた。
ンゾクは学生として英国に入国し、前科はなかった。現在はNHS職員である妻の就労ビザに「扶養家族」として滞在しており、今後の国外退去の可能性は不明だという。
一方、詐欺の共犯として起訴されたジョージは事件発覚後、英国を離れナイジェリアへ帰国したとみられており、現在は逮捕状が出されている。
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