
32年間、女性として生きてきたベトナムの女性が、遺伝子検査の結果「男性」であると判明した。遺伝疾患「完全型アンドロゲン不応症(CAIS)」と診断された事例として、海外メディアが報じた。
28日、ベトナムの報道機関ベトナムエクスプレスによると、女性 A氏は生殖器に異常を感じて産婦人科を受診し、稀少な遺伝疾患である「完全型アンドロゲン不応症」と診断されたという。
この疾患は、外見上は完全に女性であっても、染色体は男性であり、男性ホルモンであるアンドロゲンの受容体がまったく機能しないというものである。
32歳のA氏は、2か月前に別の産婦人科で子宮低形成およびロキタンスキー症候群(先天的に子宮・膣がない状態)の疑いを告げられていた。
その後、大病院に移り、行ったホルモン検査では男性ホルモンであるテストステロンの数値が異常に高く、MRI検査により子宮は確認できず、腹部に潜在していた2つの精巣が発見された。染色体検査の結果、46,XYで遺伝的性別は男性と判定された。
一方で、外見は乳房は発達しており、外見は完全に女性だった。ただし膣が短く狭いため性行為に困難がある状態だと医療関係者は説明している。同病院医師は、A氏が「男性ホルモンに反応しないため女性として発達したCAISの典型的症例」と判断した。
A氏は「最初は非常に怖かったが、今は自分らしく生きることが大切だと分かった」と語り、女性として生きていきたい意志を示した。
治療の一環として、病院は腹腔鏡による潜在精巣の摘出手術を行い、自己の皮膚と粘膜を用いて膣再建手術を進めた。術後は女性ホルモン療法によって外見および内分泌のバランスを維持しているという。
染色体は男性だが、女性の生殖器を持つ
ソウルアサン病院によると、CAISは体内の男性ホルモン受容体に異常が生じることで、男性としての分化・発達に障害が起き、外見および外部生殖器が女性型となる疾患だ。
患者は正常な男性46, XYの核型を持つが、外部性器は典型的な女性型となる。アンドロゲン不応症の主な特徴として、女性器である卵管・子宮などを欠き、精巣が存在するとされている。
つまり、精巣からテストステロンなどのホルモンは産生されるが、受容体の機能異常により適切に作用せず、そのため外見は女性化するが生殖能力を持たず、思春期に男性特徴を示さないというものである。
多くの場合、生まれた時は女性として育てられるが、思春期になって初潮がこないなどの異変から疾患が判明する。発症頻度は10万人あたり2人から5人程と言われている。
男性ホルモンを投与しても再び男性に戻ることはないため、主に患者と家族に対する精神的な相談と治療が行われ、潜在している精巣を外科手術で除去し、正常に近い膣を作る手術を通じて女性に近づける治療が一般的である。
精巣摘出術を行う際は、思春期後に正常な女性化がなされた後に手術するのが望ましく、思春期前に精巣摘出術を行う場合は女性ホルモン治療を行う必要があるという。
アンドロゲン不応症の最も危険な合併症は潜在精巣で発生する腫瘍である。年齢が上がるにつれて腫瘍が発生するリスクが増加するため、定期的な検診と治療が必要とされている。














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