「会社の資金を着服しようとしか考えていない」…AI作成の「偽造領収書」に企業は手も足も出ず

最近、人工知能(AI)を利用して偽の領収書を作成し、経費請求に悪用する事例が急増しており、世界中の企業が頭を悩ませている。
26日(現地時間)、英国フィナンシャル・タイムズ(FT)は、OpenAIやGoogleなど主要AI企業が新たに画像生成モデルを発表した後、企業内部システムでAI生成の偽造領収書が急速に増えていると報じた。
情報セキュリティ企業AppZenによると、9月に提出された虚偽文書のうち約14%がAI生成領収書であり、1年前は0%だったという。この数字は短期間で急増した。フィンテック企業Rampも、直近90日間で自社ソフトウェアが100万ドル(約1億5,243万円)規模の詐欺的経費請求を検出したと伝えた。
AI基盤の経費管理プラットフォームMediusが、米国と英国の財務担当者を対象に実施した調査では、回答者の約30%が「OpenAIのGPT-4oが発売されて以来、偽造領収書が増加している」と答えた。SAPグローバル経費プラットフォーム『Concur』製品マーケティング総括副社長クリス・ジュノー氏は、「AI作成領収書は非常に精巧で、肉眼では識別困難だ。顧客には『目を疑わないように』と助言している」と語った。
ジュノー氏はさらに、「OpenAIが3月にGPT-4oの改良版が公開されて以来、AI生成領収書の提出は爆発的に増加している」と付け加えた。これに対しOpenAI側は、「ポリシー違反が確認されれば措置を講じ、生成された画像には『ChatGPTで生成された』というメタデータが含まれている」と説明している。
かつては、偽の領収書を作成するためにPhotoshopなどの編集技術や有料の外注サービスを利用する必要があったが、現在では誰でも無料のAIツールに単純な文を入力するだけで、数秒で偽造領収書を生成できる。FTは、「AI生成領収書には紙のしわや、実在しそうなメニュー項目、署名まで含まれ、本物とほとんど見分けがつかない」と報じている。
企業は、AI作成の偽造領収書を発見するため、経費管理ソフトの検出技術に依存している。画像のメタデータ解析やサーバー名・撮影時間・出張先情報の照合で偽造の有無を確認する仕組みだ。しかし、ユーザーが画像を再撮影したり画面をキャプチャする場合、メタデータが容易に削除され、検出が困難になるという問題がある。
SAPが7月に発表した報告書によれば、最高財務責任者(CFO)の約70%が「従業員がAIを利用して出張費や領収書を偽造したことがある」と回答した。実際、SAP内部調査の結果、従業員の約10%が偽造領収書を提出したことが明らかになった。
一般社団法人日本公認不正検査士協会(ACFE)のメイソン・ワイルダー研究局長は、「AI生成の虚偽領収書は単なるいたずらではなく、企業に深刻な財政損害をもたらす可能性がある。かつてはPhotoshop技術が必要だったが、今では誰でも簡単に作成可能だ」と指摘した。














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