
グラミー賞候補にもなった声楽家のジュビラント・サイクスさん(71)が、米カリフォルニア州の自宅で刃物で刺され死亡しているのが見つかった。警察は現場にいた息子を殺人容疑で逮捕した。
10日(現地時間)、AP通信によると、サンタモニカ警察は8日夜、ロサンゼルス西部の海岸都市サンタモニカの住宅で暴行があったとの通報を受け、現場に急行した。
警察官が到着した際、サイクスさんは自宅室内で致命傷となる刺し傷を負って倒れており、その場で死亡が確認された。
被害者の息子マイカ・サイクス容疑者(31)は自宅内にいたところを、抵抗する様子もなく身柄を拘束された。警察は現場から凶器とみられる刃物を押収しており、事件の経緯を詳しく調べている。マイカ容疑者に弁護人が付いているかどうかは、現時点では明らかになっていない。
ジュビラント・サイクスさんは、2010年のグラミー賞で『バーンスタイン:ミサ』により最優秀クラシック・アルバム部門の候補となったバリトン歌手で、この作品では司祭役を務め、高い評価を受けた。
ロサンゼルス出身で、1990年にはメトロポリタン歌劇場(メトロポリタン・オペラ)の公演『ポーギーとベス』でジェイク役として出演。2008年には、同じ『ミサ』の公演評のなかで、ニューヨーク・タイムズから「カリスマ性あふれる演奏者」と評された。
サイクスさんは2002年のインタビューで「私にとって歌うことは呼吸と同じだ。自分の延長線上にあるもので、特別なことだとは思っていない。私の情熱そのものだ」と語り、ポップスからオペラまで幅広いジャンルを自在に歌いこなせると自負していた。
近年はオーケストラ・サンタモニカの芸術顧問としても活動し、一部の公演では歌手として舞台に立つだけでなく、聴衆に向けて解説も担当していた。
同オーケストラの音楽監督ロジャー・カリア氏は「ジュビラントは真の意味で人々にインスピレーションを与える存在だった。その芸術性と寛大さ、そして温かな人柄は、多くの人の人生に深い感動をもたらした」と追悼した。













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