
高市首相の「台湾有事に介入する」との趣旨の発言を背景に日中関係が緊張する中、中国のペットトリマーが日本原産の柴犬を乱暴に扱う様子をSNSに投稿し、物議を醸している。
台湾メディアの「ミラーメディア」などによると、拡散しているのは中国・江蘇省で活動するペットトリマーで、インフルエンサーとしても知られる「チョンチョン」と名乗る人物の動画だ。この動画がX(旧ツイッター)上で共有されると、批判が広がった。
動画では、作業台の上に乗っている柴犬に対し、荒い口調の言葉を浴びせながら爪を切り、肘で体を押さえつける場面が映っている。「私がお前を怖がるとでも思っているのか」といった言葉を叫ぶ様子も確認できる。
さらに、柴犬の原産地である日本と結びつける発言が相次いだ。チョンチョンは「正気なのか。まだ自分の国(日本)にいるつもりなのか。その国はもう降伏したのだ。抵抗しても無駄だ」、「お前は先祖たちと同じで現実感覚がまるでない」などといった趣旨の言葉を投げかけたという。
別の柴犬を洗った後、毛を乾かす過程でも、首輪やリードを強く引いたり、ドライヤーのヘッドで犬を叩いたりするように見える場面があったとされる。黒い柴犬の前足を整える場面では、叩いて引っ張るほか、歯を確認しようとしたのか首を締めるように押さえる様子も映っていたという。

日本のX利用者の一人は、柴犬を乱暴に扱う場面のみを切り取った編集動画を公開し、「柴犬が日本の犬だと言って虐待している」と紹介した。これを受け、X上では「動物虐待は許せない」といった批判が相次いだ。ほかにも「日本人を恨むのではなく戦争を恨め」、「パンダを返すから柴犬や秋田犬も返せ」、「涙が出る。中国に柴犬が輸出されないよう輸出禁止にしてほしい」などのコメントが寄せられた。
一方で、チョンチョンは中国版TikTokの抖音(ドウイン)で約96万3,000人のフォロワーがいるとされている。チョンチョン本人は、自身が荒く扱っている犬はすべて飼い主の同意を得ており、美容の過程で犬が死んでも責任を問わないという内容の「生死契約書」に飼い主が署名していると主張している。
ただ、チョンチョンが柴犬など日本由来の犬種だけを狙って乱暴に扱っているわけではないとも報じられている。投稿には柴犬のほか、コーギーや雑種犬に対しても、首を絞めるように押さえたり叩いたりする場面が含まれていたという。
また、チョンチョンは、人をかむなど問題行動があるとして他のトリミング店で「ブラックリスト」に載った犬を中心に依頼を受け、施術している可能性があるとも伝えられた。
批判が相次いだ後、チョンチョンは釈明動画を投稿し、悔しさをにじませて涙を流しながら説明した。動画では「批判や攻撃をたくさん受けている」と訴え、「飼い主が同意済みなので、自分のやり方が問題になるはずがないと思っていた」、「犬も家族の一員なのだから、間違いを犯せば必要なだけしつけて、愛さなければならないと信じている」などと主張した。さらに「どうか放っておいてほしい。別の意図はない。ただ家族を養うためにお金を稼いでいるだけだ」とも述べたという。













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