中国人夫婦、自宅で偽札印刷
「当日製造・当日使用」の原則で証拠隠滅
一日最大6万2,000円相当

自宅で偽札を印刷し使用していた中国の夫婦が逮捕された。彼らは毎日使う分だけ偽札を印刷し、市場で使い果たすことで商人らに被害を与えていた。印刷した偽札は少なくとも約418万円に達すると見られている。
中国中央テレビ(CCTV)は13日、江西省撫州(ぶしゅう)市公安局経済犯罪捜査隊の発表を引用し、ホ被告とシュ被告が偽札を製造し、使用した容疑で逮捕・刑事拘留されたと報じた。
報道によると、「市内で誰かが偽札を使用している」という通報を受けた捜査に乗り出した警察は、複数の周辺地域にある市場で数千人にものぼる商人が偽札被害を受けていた事実を把握したという。
警察は大規模な捜査を展開し、この夫婦を特定して逮捕、家宅捜索を行った。夫婦の自宅からは、未使用の偽札20万元(約405万円)相当と、偽札製造に使用されたプリンター、インク、紙などが発見された。

この夫婦は毎日300元(約6,082円)から多い時は3,000元(約6万823円)相当の偽札を製造し、「当日製造・当日使用」の原則で、未明に偽札を製造した後、市場が開く早朝に偽札を全額使用し、証拠を隠滅していた。
彼らは市場で物を購入する際、商人に高額の紙幣を渡し、商人が紙幣を光にかざして本物であることを確認した後、「小さいのがあったからそれで払う」と言って本物の紙幣を返してもらい、偽札を渡す方法で犯行を行っていた。
中国「偽札」依然として問題…「年間平均約156億6,500万円」
中国では偽札を使った詐欺が横行していることから、「WeChat Pay」や「Alipay」などQRコードを利用した電子決済システムが急速に普及した。現金への不信感が、中国を日本より一歩先に「キャッシュレス社会」へ向かわせたという評価さえ出ている。
それにもかかわらず、依然として偽札の製造および流通が根絶されていない。中国人民銀行は2021年、中国各地で回収される偽札の規模が年平均8億元(約162億1,282万円)に達すると発表した。
これを受け、商人たちは紙幣を受け取ると日光や照明にかざして偽札かどうかを判別し、店舗に「紙幣識別機」を設置するようになった。
中国の刑法によれば、偽札を製造した者は3年から最長10年の懲役に処せられる。また、偽札と知りながら所持または使用した者は、高額の場合、10年以上の懲役および50万元(約1,012万円)以下の罰金に処せられる可能性がある。
