
約40億年前、火星で発生した大規模な火山爆発により、赤道地域にも厚い氷層が形成されたとみられるとの分析結果が発表された。米アリゾナ州立大学の地球・宇宙探査学科の研究チームは、この研究結果を今年10月15日、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。
火星の現在の自転軸の傾き(25度)と気候条件から、氷は極地でのみ安定的に存在すると考えられてきた。しかし最近、米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)の探査機が赤道付近でも水素濃度の高い地域を発見し、氷の存在可能性が提起され、これは長年、科学界の謎とされてきた。。
研究チームはフランス気象研究所の「惑星気候モデル(LMD)」を用いて、約30億~40億年前に火星で発生したと推定される大規模な火山爆発をシミュレーションした。火星の代表的な火山である「アポリナリス・モンス」と「シルティス・メジャー」の大規模噴火を再現した結果、たった一度の爆発だけで最大5mの厚さの氷層が赤道付近の表面に形成される可能性があることが判明した。火山爆発の際に噴出した大量の水蒸気が冷たい大気に触れて急速に冷却され、雪や氷、火山灰として降り積もったためだ。
研究チームはまた、火山から放出された硫酸が大気中に拡散し、一時的な「火山の冬」現象を引き起こしたとされる。硫酸エアロゾルが太陽光を反射し、惑星の平均気温を約11度下げ、氷の融解を防いだという。その後、氷は火山灰や硫酸ガスに覆われ、長期間にわたり保存されたと考えられている。これにより、赤道地域の水素濃度が高まったと研究チームは分析した。
火星で繰り返された火山活動は赤道地域に周期的に水を供給し、古代の河川や湖の痕跡を形成することにも寄与したと考えられる。先月米航空宇宙局(NASA)が火星で生命の兆候を発見したと発表した古代の谷「チェヤバ滝(Chayaba Falls)」も赤道付近に位置している。
研究チームは「火山爆発で形成された氷と堆積物は、火星で微生物が生息するのに適した条件を提供した可能性がある」とし、「今後の火星生命体研究はもちろん、有人探査のための現地水資源利用の可能性を確認するため、赤道付近の氷探査を継続する必要がある」と述べた。
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