
日本政府は、深刻化する「オーバーツーリズム(観光公害)」への対策として、現在出国時に課している「出国税」を3倍以上に引き上げる方向で検討を進めている。
さらに、訪日外国人に対するビザ申請手数料の大幅な引き上げや、現在の「購入即時還付」方式の免税制度を「出国時還付」方式に改める方針も示された。これらの措置で得られた税収は、オーバーツーリズム対策の財源として活用される見通しである。
『毎日新聞』は11日、こうした方針が2026年度の税制改正に向けた議論の一環として検討されていると報じている。
政府はまず、現在1人あたり1,000円となっている出国税を3,000円以上に引き上げる方向で調整を進めている。出国税は日本人と外国人の双方に課されるが、政府は日本人の海外旅行需要の冷え込みを避けるため、10年有効パスポートの発行手数料を最大1万円引き下げる案も検討している。
現在、10年有効パスポートの発行手数料はオンライン申請の場合で1万5,900円である。このうち約1万円は、海外在住邦人の保護対策に充てられている。
政府は、出国税の引き上げによって得られる税収を、観光地の混雑緩和やマナー違反防止、地域観光インフラの整備などに充てる方針を示している。
日本では近年、円安の影響と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)収束後の旅行需要回復を背景に、訪日外国人観光客が急増している。今年の訪日客数は4,000万人に達する見通しであることから、主要観光地ではゴミの散乱や騒音、無断侵入など、いわゆる「オーバーツーリズム(観光公害)」の問題が深刻化している。
政府は、年内にも訪日外国人のビザ申請手数料を欧米水準へと大幅に引き上げる方針を正式に決定した。ビザ手数料の改定は1978年以来、実に47年ぶりとなる見込みである。
また、来年中には外国人観光客に対する消費税免税制度を、現在の「購入即時還付」方式から「出国時還付」方式へ切り替える政策も進めている。
現行制度では、訪日外国人が店舗で商品を購入する際にパスポートを提示すれば、その場で消費税(10%)が免除される仕組みとなっている。全国で免税店として登録されている店舗は、約6万3,000カ所に上る。
最近、訪日外国人が免税で購入した商品を出国前に転売し、利益を得る「不法転売」や脱税行為が問題化している。これを受け、日本政府は免税制度を改め、まずは商品を税込み価格で販売し、出国時に税関で実際に物品を所持していることを確認した上で消費税を還付する方針を打ち出した。
財務省によると、過去2年間で免税品を1億円以上購入して出国した外国人は690人に上り、総購入額は2,332億円に達しているとされる。
一方で、今回の制度改正によって外国人観光客の数が減少するのではないかとの懸念も出ている。政府関係者の一人は、「外国人観光客と観光業界の双方が納得できる形での調整が必要だ」と見解を示した。













コメント0