
20年間全身麻痺状態で生活してきたアメリカ人女性が、イーロン・マスク氏が設立した脳神経科学スタートアップ「Neuralink(ニューラリンク)」のチップを脳に埋め込んだ後、思考だけでコンピュータを操作できるようになった。
「ニューシス」の報道によると、28日(現地時間)「デイリー・メール」は、アメリカ・ルイジアナ州在住のオードリー・クルーズ氏が16歳の時に交通事故で頸椎C4、C5を損傷し、全身麻痺と診断されたと伝えた。
その後20年間全身麻痺状態で生活してきた彼女は、26日にアメリカのマイアミ大学健康センターでニューラリンクの「N1インプラントチップ」を脳に埋め込む手術を受けた。
N1は脳とコンピュータを接続して相互作用させる「ブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)」の一種で、2016年にニューラリンクが開発した。
小型コインサイズのこのチップには、髪の毛よりも細い128本の電極ワイヤーが付いており、各ワイヤーには脳波を感知する電極が取り付けられている。
電極が脳の運動皮質に挿入されると、ニューロンの電気信号を感知し、その情報がBluetooth経由でコンピュータやスマートフォンに送信される。ニューラリンクのソフトウェアがこの信号を解析し、操作命令に変換するという仕組みだ。チップはワイヤレス充電式の小型バッテリーで動作する。
チップ移植手術を成功裏に終えたクルーズ氏は、27日にXに「20年ぶりに自分の名前を書いた」という文章とともにコンピュータ画面を撮影した写真を投稿した。
クルーズは、自分の名前はもちろん、ハートや木、顔など様々な絵を思考だけで描けるようになったと述べ、「人差し指で左クリックし、カーソルが手首に沿って動くと想像するだけでいい。テレパシーを使った日常生活だ」と語った。
これに関連してマスク氏は「未来は既にここにある」と述べ、「彼女は思考だけでコンピュータを制御している。ほとんどの人はこれが可能だということに気づいていない」と語った。
一方、ニューラリンクによるチップ移植の例は以前にもあった。ニューラリンクはアメリカ食品医薬品局(FDA)から患者5人を対象とするN1移植実験の承認を受けており、これまでに3人の脊髄損傷患者と筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者への移植を完了している。彼らもクルーズ氏同様、思考だけでコンピュータを操作することに成功したと報じられている。
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