
アメリカのドナルド・トランプ大統領が率いる政権が、米連邦準備制度理事会(FRB)に対し利下げを求める中、FRBの予算浪費を再び問題視し、ジェローム・パウエル議長への圧力を強めているという。
トランプ政権の関係者は「FRBには説明すべき点が多い」とし、大統領にはFRB議長を解任する権限があると強調している。
米ホワイトハウスのケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長は13日(現地時間)、米ABC放送に出演しパウエル議長について言及した。
FRB本部の改修工事に関連して、パウエル議長の解任理由になり得るかとの質問に対し、「FRBがラッセル・ボート行政管理予算局(OMB)局長の質問にどう答えるかによって、トランプ大統領がどう判断するかが決まる」と述べた。
ハセット委員長は、FRBの改修費が「米国史上、FBI本部に次ぐ高額な工事」と指摘し、「FRBには説明すべきことが多い」と主張した。さらに「議長の解任権については現在検討中だが、正当な理由があれば、大統領にその権限がある」と述べた。
FRBは2021年から首都ワシントンDCにある本部の大規模改修を進めており、2022年時点で工事費は約25億ドル(約3,685億3,981万円)に膨らんでいる。FRBは議会予算ではなく、自己資産からの収益で運営されているが、近年は金利支払いにより赤字に転じているという。
かつてトランプ政権下で政府効率局(DOGE)を率いていたテスラのイーロン・マスクCEOは、4月30日、記者団に対し「FRBの工事費用を調査すべきだ」と述べていた。
ホワイトハウスや共和党関係者は、FRBが屋上庭園や人工滝、VIP専用エレベーター、大理石装飾など「不要な贅沢」に予算を投じた結果、当初計画よりも7億ドル(約1,031億8,987万円)増額されたと批判している。
これを受け、OMBのボート局長は10日、パウエル議長宛てに抗議書簡を送り、営業日基準で7日以内に本部改修工事に関する規則違反の有無を説明するよう求めたとのこと。
米政治メディア「アクシオス」は、FRBが30日に政策金利の決定を控える中、トランプ政権がそれ以前にパウエル議長を解任する可能性があると報じている。
FRB側はこれまで、工事費用の増加について「インフレによる資材費や人件費の高騰が理由」と説明している。今月11日には公式ウェブサイト上に「よくある質問(FAQ)」を新設し、工事費用増加の原因について説明を掲載しているという。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)など現地メディアは、「トランプ政権がパウエル議長に対する圧力を強めるため、改修費用問題を繰り返し取り上げている」と推測している。
大統領就任2期目以前からパウエル議長を非難していたトランプ大統領だが、今月11日のインタビューでは「現時点で解任の予定はない」と述べている。現時点ではパウエル議長の任期は来年5月までとのこと。
NYTは、トランプ政権が今年に入って4会合連続で政策金利を据え置いたパウエル議長を非難し、新たに「改修費用問題」に焦点を当てた攻撃を展開したと指摘した。さらに、パウエル議長解任の準備に入ったとの疑惑が高まったと報じている。
専門家の話として、政権側が改修費問題を誇張することで、パウエル議長に対する国民の信頼を低下させようとしているとの見解も伝えている。

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