
米政府が「シャットダウン(業務停止)」に陥る可能性が浮上している。米国のドナルド・トランプ大統領が「大きくて美しい1つの法案」(OBBBA)と称した大規模な減税・支出削減法案の処理を巡り、与野党が対立しているためだ。現在、上院では共和党が53議席で多数を占めているが、予算案の処理には45議席を確保している民主党の協力が不可欠だ。
21日(現地時間)、米政治専門紙「ザ・ヒル」は米連邦議会上院の歳出委員会に所属する共和党高官が、米政府のシャットダウンの可能性を50-50と見ていると報じた。共和党の別の上院議員も、今回の減税法案、国際援助及び公共放送への予算削減案の処理過程で民主党議員が反発し、シャットダウンの可能性が高まったと予測している。この議員は「民主党は非常に不満を抱いている」と状況を伝えた。
これに関連し、民主党のトップ、チャック・シューマー院内総務は実際に8日、共和党議員に送った書簡で「政府の資金調達が通常通り進むと期待しないように」と警告した。トランプ大統領が就任直後に国内外で一方的な強硬路線を取ったが、民主党が適切に対応できず、失望した支持層をなだめるため、民主党が米政府の予算を問題にしてトランプ大統領を逆襲するシナリオも浮上している。
共和党は歳出予算案を編成するための法案処理を加速させ、民主党に超党派的な協力を繰り返し要請する方針だ。共和党のトップ、ジョン・テューン院内総務は「政府に資金を提供するには60票が必要だ」とし、「民主党の協力を得られる(歳出)法案を推進したい」と述べた。 このような状況下で、トランプ大統領が追加の予算削減案を議会に提出する見通しが立っており、これが民主党をさらに刺激するとの観測も出ている。
行政管理予算局(OMB)のラッセル・ボート局長がすでに追加の予算削減案を提出する計画があると明らかにしたことを受け、共和党指導部はホワイトハウスのこの方針に警告を発したという。共和党上院の高官はホワイトハウスが予算削減案を追加で提出した場合、「複雑な事態を招くことになる」と予測している。この高官は「追加の予算削減はより適切な時期を選び、より慎重に行うべきだ」と述べた。
ただし、民主党の強硬な対応は政治的パフォーマンスに過ぎず、実際には米政府のシャットダウンは起こらないとの見方もある。民主党議員の強硬姿勢は、次期大統領候補や院内総務選出を意識したものだという分析もある。また、過去には米政府のシャットダウン直前に議会で予算案が劇的に可決された例も多い。今年初めにも民主党の協力の下で予算案が議会を通過し、シャットダウンを回避した。このため、民主党の院内指導部は党内の強硬派から「裏切り者」との非難を浴びることもあった。
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