
ドナルド・トランプ米政権が、8月1日に予定されている相互関税の発動を前に韓国政府に対して全面的な圧力を加える中、韓国大統領室は25日、米韓の通商交渉に農畜産物も含まれていることを明らかにした。
韓国政府がコメや牛肉などの国内農産物市場の開放について協議の対象に含めたと公式に認めたのは、今回が初めてとなる。トランプ大統領が「我々の優れた牛肉を拒む国々を黙って見ているわけにはいかない」と公然と韓国に圧力をかけており、一部の農畜産品では譲歩が避けられないとの見方も出ている。
同日、韓国大統領室ではカン・フンシク秘書室長の主宰により、キム・ヨンボム政策室長、ウィ・ソンラク安保室長、ク・ユンチョル副首相兼企画財政部長官、ユン・チャンリョル国務調整室長らが出席する緊急通商対策会議が開かれた。会議後、キム室長は記者団に対し、「一部報道で農産物が交渉対象から除外されたとされていたが、農産物も含まれている」と説明した。
またキム室長は、「米韓両国は造船や半導体といった製造業分野での協力の重要性と、8月1日以前に相互関税を互恵的に妥結する意思を再確認した」と述べた。
現在、キム・ジョングァン産業通商資源部長官とヨ・ハング通商交渉本部長が米国に滞在し、ハワード・ラトニック商務長官やキャサリン・タイ米国通商代表部(USTR)代表らと協議を続けているという。また、26日にも追加の会議が予定されている。
ウィ安保室長も同日の記者会見で「安全保障分野の一括協議は比較的、安定して進んでいる」とし、「その良好な流れが他分野の交渉にも良い影響を与えることを期待している」と述べた。通商交渉の進展状況について、韓国大統領室がこれほど具体的に言及するのは異例とされる。
トランプ大統領は24日(現地時間)、「他国にも金を払って関税を引き下げることを認める」と発言した。日本が市場を開放し、5,500億ドル(約81兆2,771億5,400万円)規模の対米投資を約束した見返りに、相互関税を25%から15%へと引き下げたように、韓国を含む他国にも関税を下げるなら「贈り物」を出すよう圧力をかけている。
韓国政府、米国との通商交渉で農産物も提示
韓国大統領室「農畜産物も交渉対象」牛肉輸入再開の可能性にも言及
韓国大統領室は25日、米韓間で進められている通商交渉に農産物分野も含まれていると明らかにした。これまで韓国側が「譲れない一線(レッドライン)」とみなしてきた農産物についても、交渉対象とする意思を示したという。
同日、韓国大統領室では緊急の通商対策会議が開かれ、対米交渉においてあらゆる通商分野を対象に交渉戦略を見直す方針が確認されたという。
韓国政府内では、米側が求める牛肉市場のさらなる開放や検疫手続きの緩和といった要求に、前向きに応じるべきだという意見も出ているとされる。
この日のキム・ヨンボム政策室長の説明によると、米韓間の関税交渉はキム・ジョングァン産業通商資源部長官とハワード・ラトニック米商務長官による製造業・投資分野の交渉、およびヨ・ハング通商交渉本部長とキャサリン・タイ米国通商代表部(USTR)代表による、農産物やデジタル分野など非関税障壁に関する交渉が軸となっているという。
キム室長は「日本の場合は主にラトニック商務長官が進めた交渉を中心に妥結した。一方でタイ代表が担当する分野はそれほど多く含まれていなかったと理解している」と説明した。農産物を含む非関税障壁よりも、製造業や投資分野の交渉が米韓交渉において重要であるとの認識を示した。
また、先に米国と貿易交渉を妥結させた日本の事例を参照しながら、韓国政府が対米交渉の方針を修正している状況もうかがえる。
韓国政府が対米交渉戦略を修正し始めた背景には、日本との交渉を妥結した米国政府が、韓国に対して圧力を強めている現状があるという。
ラトニック商務長官は24日(現地時間)、米CNBCに出演し「日本との合意内容を見て、韓国側から罵声が聞こえてきたのではないか」と述べた。
政府内外では現在、農産物分野の非関税障壁に関し、韓国がジャガイモやリンゴ、ベリー類など米国産農産物に対して厳格な検疫手続きの見直しを優先的に検討しているとの見方も出ている。さらに、30か月齢以上の米国産牛肉の輸入再開も、次の交渉カードとして提示される可能性があるという。この場合、製品に月齢を表示する方式が議論されている。
一方で、公正取引委員会は24日、米国下院からオンラインプラットフォーム法の制定に関し懸念を示す書簡を受け取ったと明らかにした。米下院は、来月7日までに法案の影響について説明するよう求めているという。
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