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2025年08月01日金曜日
ホーム最新フォトニュース制空権を奪い地上を封鎖…タイ軍が“無人機だけ”でカンボジア軍を機能不全に陥れた5日間

制空権を奪い地上を封鎖…タイ軍が“無人機だけ”でカンボジア軍を機能不全に陥れた5日間

2025年7月下旬、タイとカンボジアの国境地域で大規模な武力衝突が発生し、5日間で38人以上が死亡、30万人を超える住民が避難した。両国は通常兵力に加え、無人機、BM-21ロケット、F-16戦闘機などの最新兵器を投入し、タイの経済被害は3億ドル以上に達したとされている。

今回の衝突では、タイ軍のドローン運用が戦局を大きく左右した。クワッドコプターやFPV、自爆型の無人機を組み合わせた立体的な攻撃により、タイは空中優位を確保した。これにより、カンボジア側の指揮中枢や補給路が次々と破壊され、組織的な抵抗が困難な状況に追い込まれた。

カンボジア軍は監視用ドローンの運用にとどまり、電子戦や迎撃能力も不足していた。ローウィ研究所のヤコブ博士は、ウクライナやミャンマーと同様に、タイが限定的な兵力で無人戦力を最大限に活用したと評価した。こうしたドローン戦術は、東南アジア各国の防空体制の見直しを促す要因になり得る。

衝突の背景には、プレアビヒア寺院の領有権をめぐる1世紀以上にわたる対立がある。2013年にICJがカンボジア領と認定したにもかかわらず、タイ国内では判決を受け入れない声が根強く、王党派や保守層の影響を受けた軍部の強硬姿勢が事態をエスカレートさせたと分析されている。

停戦合意は7月28日に実現したが、ASEANの仲介は機能不全に陥った。アメリカの経済圧力が両国に影響を与えたことは事実だが、根本的な火種が解消されたとは言い難い。専門家は、今後も局地的衝突が再燃する可能性があると警告している。

この衝突は、無人機が戦場の常識を覆す存在となったことを印象づけた。タイのドローン戦術はNATOすらも凌ぐ機動力と精密性を示したという見方があり、東南アジアにおける軍事バランスが急速に変化している。今後は、防空網の再構築とともに、ASEANの調停能力の強化が喫緊の課題になる。

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