「人喰いバクテリア」に感染した70代男性、カニ処理中の小さな傷が原因で死亡
中国・温州で起きた“カニのひっかき傷”が、わずか9日で命を奪った。
この男性は、「人喰いバクテリア」として知られているビブリオ・バルニフィカス菌に感染し、最終的に死亡した。

中国国営メディア「ザ・ペーパー」などの報道によると、この男性は自宅でグリーンクラブを処理中、カニのハサミで左手に軽い傷を負った。肉眼では深刻に見えない小さな傷だったため、男性は単に絆創膏を貼っただけだった。
しかし、受傷から23時間も経たないうちに状況は急速に悪化した。男性の左腕全体が赤く腫れ上がり、傷から膿が出始め、発熱も見られた。家族はすぐに彼を病院に搬送し、医療スタッフはビブリオ・バルニフィカス感染を確認した。
ビブリオ・バルニフィカス、24時間以内に急速進行する致命的感染症
入院後わずか1時間で患者の状態はさらに悪化した。皮膚が徐々に黒変し、膿が流出する壊死性筋膜炎が進行。受傷から24時間で敗血症性ショック状態に陥った。
医療チームは緊急手術や複数回の壊死組織除去、さらには左腕切断まで試みたが、感染の拡大を食い止めることはできなかった。結局、この男性は受傷から9日後に死亡した。
ビブリオ・バルニフィカスは海、干潟、海産物(特にカキやカニ)に広く生息する細菌で、傷口から感染したり、生の海産物摂取により体内に侵入したりする可能性がある。
この細菌は海水温が18℃以上で活発に増殖するため、毎年5~6月頃に初発患者が現れ、8~9月に最も多くの感染例が報告される。
ビブリオ・バルニフィカス感染時には急性発熱、悪寒、血圧低下、腹痛、嘔吐、下痢などの症状が現れ、発症後24時間以内に脚部に発疹、腫脹、水疱などの皮膚病変が生じる。
米国クリーブランドクリニックの研究によると、感染後の治療が遅れると致死率が50%以上に急上昇し、72時間を過ぎると生存率が急激に低下するという。
国内のビブリオ・バルニフィカス発生と予防対策

国内でも、今年5月に初のビブリオ・バルニフィカスに感染した患者が確認された。
この患者は70代で肝疾患などの基礎疾患があり、5月1日から下痢、腹痛、消化不良、脚部の腫脹などの症状で入院治療を受け、5月10日にビブリオ・バルニフィカスと確定診断された。
疾病管理庁はビブリオ・バルニフィカス予防のため、「魚介類は必ず十分に加熱して食べること」、「皮膚に傷がある人は海水に触れないこと」、「魚介類は5度以下で保存し、85度以上で加熱処理すること(貝類は殻が開いてから5分以上煮沸し、蒸す場合は9分以上調理)」、「魚介類調理時は流水でよく洗うこと」、「魚介類を調理したまな板や包丁などは必ず消毒してから使用すること」、「魚介類取扱い時は手袋を着用すること」などの注意事項を守るよう呼びかけた。
注目の記事