機関投資家やマイケル・セイラー氏のストラテジーといった、財務戦略として暗号資産への投資を掲げる企業の増加により、米国市場でビットコインが過去最高値に迫っている。
11日(現地時間)、ブルームバーグによれば、米東部時間午前6時時点でビットコインは最大3.3%上昇し、12万2,000ドル(約1,810万円)を突破した。これは7月中旬に記録した過去最高値には及ばないものの、十分に接近している。一方、週末に4,300ドル(約63万円)を超えて急騰したイーサリアムは、この時点で1.6%下落し、4,180ドル(約62万円)で取引されている。
コインゲッコが集計したデータによると、米国のデジタル資産関連企業が保有するビットコインは、累計で1,130億ドル(約16兆7,719億3,844万円)に上る。
週末には、ハーバード大学が1億2,000万ドル(約178億1,218万円)規模のビットコイン現物ETFを保有していることが明らかになった。
BTCマーケットの暗号資産アナリスト、レイチェル・ルーカス氏は「ビットコインが新たな最高値に挑戦している背景には、企業による保有需要、米国現物ETFへの機関資金流入、さらに輸入金地金への米国の関税が投資心理に変化をもたらしているためだ」と述べた。さらに「金が供給制約や政策リスクに直面する中、関税がかからない価値保存手段としてビットコインの役割が注目されている」と説明している。
イーサリアムに関しては、ストラテジック・イーサ・リザーブのデータによれば、企業が蓄積したイーサリアムは等価資産を含め、現在までに約130億ドル(約1兆9,295億2,045万円)に達していることが示された。
ロイターが先週、米証券取引委員会(SEC)に提出された開示資料を分析した結果、米上場企業が保有するイーサリアムは今年7月末時点で少なくとも96万6,304枚に達しており、昨年末と比較して保有量が8倍以上増加していると明らかにした。
当日は下落傾向を示したものの、イーサリアムのオプション市場では全体のプット・コール比率が0.40と強気な雰囲気を反映していた。デリビットのデータによれば、12月26日満期のコールオプションにおいて、行使価格6,000ドル(約89万円)が最も取引比率が高かった。
デジタル資産のプライムブローカレッジを手がけるファルコンXのAPACデリバティブ取引責任者、ショーン・マクナルティ氏は、ビットコインとイーサリアムのポジショニングが9月および12月のコールオプションに大きく偏っていると指摘した。
また、トランプ大統領が先週署名した、暗号資産を米国の退職年金401(k)口座で保有可能とする大統領令の影響も続いている。
複数のデジタル資産企業に財務的利害関係を持つトランプ大統領の息子、エリック・トランプ氏は週末、ソーシャルメディア上で投稿し、イーサリアムの上昇を歓迎した。その前に、ブルームバーグは、トランプ家が支援するワールド・リバティ・ファイナンシャルが、自社発行のWLFIトークンを保有する公開会社の設立計画について投資家の意見を募っていると報じた。
ルーカス氏は、ビットコインの次の重要な節目は過去最高値である12万3,205ドル(約1,828万円)付近であり、現在のモメンタムが弱まった場合、11万6,000ドル(約1,713万円)付近で支持線が形成される可能性があると付け加えた。
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