GDPの8%を投じても「戦費」に限界…ロシア、増税を検討
西側制裁でエネルギー収入が減少

ウクライナとの戦争が3年を超える中、ロシアが再び増税に踏み切る可能性が浮上している。すでに巨額の予算を戦費に投じているものの、さらなる支出が避けられないためだという。ロシアは来月公表予定の新年度予算案で軍事費を国内総生産(GDP)の8%に設定するとみられるが、実際にはこれを上回るとの見方も広がっている。
ロイター通信は20日(現地時間)、3年以上戦争を続けるロシアが高水準の軍事費を維持するため、増税や歳出削減の準備を進めていると報じた。
ウラジーミル・プーチン露大統領は「戦争の長期化でロシア経済が揺らいでいる」との指摘を否定しているが、経済専門家の見解は異なるという。
ロイター通信によれば、2022年2月のウクライナ侵攻以降、ロシア政府の歳出はほぼ倍増し、巨額の財政投入により物価は急上昇した。ロシア中央銀行は今年のインフレ率を6から7%と予測している。一方で、西側諸国による制裁で石油やガスなどエネルギー収入が減少し、財政赤字は拡大を続けている。現在の赤字額は4兆9,000億ルーブル(約9兆290億4,010万円)に上る。
ロシア政府関係者は「増税しなければ、たとえ国防費を削減しても歳入は減少せざるを得ない」と述べ、増税の必要性を示した。ロシアは昨年も不足する戦費を賄うため、法人税率の引き上げや高所得層への累進課税導入など、増税を実施している。
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