「交尾前に『青酸カリの10倍』の毒を注入」…衝撃的な理由とは

メスに捕食されないよう、交尾前に青酸カリの10倍以上強い毒を心臓に注入するオスのタコがいるという研究結果が発表された。
今月18日(現地時間)、米CNNは学術誌「カレントバイオロジー」に掲載された研究を引用し、オスのヒョウモンダコが交尾中にメスの心臓にテトロドトキシン(TTX)という強力な神経毒を注入すると報じた。
タコの交尾は、オスが生殖器の役割を果たす腕をメスの生殖器に挿入して精子を伝達する形で行われる。オスの交接腕は先端に吸盤がないことで識別できる。タコの交尾はオスメスが密着した状態で行われるため、体の小さいオスがメスに捕食される危険が高いが、青いリングタコは異なる戦略を取っていた。
研究の主著者で、オーストラリア・クイーンズランド大学の動物神経生理学者である鍾文松(チョン・ウェンソン)博士は、オスの2倍の大きさがあるメスの青いリングタコがオスを捕食することが多いため、オスが毒を使用するよう進化したと説明した。
タコの神経毒が捕食や防御ではなく交尾に使用されるという証拠が見つかったのは今回が初めてだ。一般的にオスのタコはメスの最後の餌食として知られている。オスのタコを食べることで、メスは卵を産み、孵化させるのに必要なエネルギーを蓄えられるからだ。
そのため、多くのタコは交尾中に安全な距離を保てるよう腕が長くなる方向に進化してきた。一方、青いリングタコは腕が短いため、毒を使って身を守る。
鍾博士によると、オスのヒョウモンダコはメスの後方から近づき、特定の部位を噛んで大動脈にTTXを注入する。毒を注入されたメスのタコは約1時間麻痺し、呼吸が止まるが、その間にオスは安全に交尾できる。研究中にメスが毒で死亡した例は確認されなかったという。
鍾博士はこの現象を「オスメス間の生存と繁殖をめぐる競争」と表現し、次世代に遺伝子を伝えるための青いリングタコの生存戦略だと説明した。交尾中に相手を捕食する行為はタコだけでなく、クモやカマキリなど他の動物種でも見られる。
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