ロシア「秋以降も戦争継続」…ウクライナとの終戦交渉は難航
トランプ大統領が示唆した「2週間以内の露・ウクライナ首脳会談」も実現せず

ロシアが3年7か月目に入ったウクライナ侵攻を今後も続ける姿勢を示し、戦争終結への突破口と期待されていた両国の首脳会談も事実上頓挫したとの見方が出ている。
ドナルド・トランプ米大統領は「2週間以内に両国の首脳会談が開かれる」と言及していたが、その期限にあたる1日になっても、両国間で協議に向けた具体的な進展は見られていない。
ロシアメディアによると、ロシア軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長は最近の国防省談話で「我が軍はさらなる攻勢作戦を通じて特別軍事作戦(ウクライナ侵攻)の目標達成を続ける」と述べ、「各部隊の秋の戦闘目標と任務を明確にする」と強調した。これはロシア軍が今後数か月にわたり戦闘を継続する方針を公式に示したもので、停戦を仲介してきたトランプ大統領の立場と対立する発言と受け止められている。
トランプ大統領は先月18日、ホワイトハウスでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領ら欧州主要首脳と会談し、その後、ウラジーミル・プーチン露大統領とも電話会談を行った。その上で「2週間以内にプーチン大統領とゼレンスキー大統領が会い、停戦合意を協議する」と発言していた。英紙ザ・タイムズは「期限を迎えた1日現在、プーチン大統領は中国を公式訪問中で、双方が対話の糸口を見いだす兆しは見られない」と指摘した。

一方、ロシア軍はウクライナ全土への大規模な空爆を続けている。ロシア軍は8月31日、ウクライナ全土を無人機(ドローン)142機と多数のミサイルで攻撃し、市民5人が死亡、61人が負傷した。28日にもキーウ中心部を狙った大規模な空爆を行い、子ども4人を含む市民25人が死亡した。市内のショッピングセンターのほか、英国文化院や欧州連合(EU)代表部など外交施設にも被害が及んだ。
欧州の指導者らはプーチン・ゼレンスキー会談の実現は極めて難しいと判断し、長期戦を見据えた姿勢を強めている。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は8月31日のZDF放送のインタビューで「年内に停戦の可能性を排除するわけではないが、実現するとの幻想も持っていない」と述べ、「ウクライナの降伏を代償とする形で戦争を終わらせることはない」と強調した。そのうえで「最優先はウクライナ軍が自国を守れるよう継続的に支援することだ」と語った。
欧州各国の間では、ウクライナの安全保障に関する議論も具体化している。欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に対し「欧州各国が停戦・終戦後にウクライナへどのように自国軍を配置するか、かなり具体的な議論を行っている」と明らかにした。米国は自国軍の派遣には否定的だが、民間軍事会社を通じた人員派遣を検討しているとされる。FTは「欧州委員長とNATO事務総長、フランス・ドイツ・英国の首脳らが4日にパリで会談し、この問題を協議する予定だ」と伝えている。
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