
最近、中国の若者の間で24時間営業のジムに宿泊するという現象が広がっている。故郷を離れ、北京や上海などの大都市で働く若者がジムで寝泊まりして宿泊費を節約する一方、過酷な競争の中で疲弊した会社員が短時間の仮眠をジムで取ることも増えている。香港の星島日報は、中国のジムが20〜30代にとって「寝る場所」へと変貌しつつあると報じた。
最大の魅力は料金の安さだ。中国のジム会員権は価格帯が幅広いが、安いところでは月額約200元(約4,100円)程度に過ぎない。ある若者は「通っているジムは全国チェーンなので、会員権ひとつで全国どこでも利用(宿泊)できる」と語る。
ネットカフェはさらに安いがゲーム音などで寝づらく、サウナは費用が高いうえに睡眠室の予約競争も激しい。
北京で働く35歳の会社員ボボさんは、ダイエット目的で自宅近くのジムに入会したが、最近はジムの休憩スペースを寝室代わりに使っているという。「サウナだと着替えやシャワーが必要だけれど、ジムの休憩室ならそのまま横になれるのが良い。昼休みは人も少なく照明も柔らかくて、1時間の仮眠にぴったりだ」と話す。別の会社員ホ・リュウリュウさんも「午後2時〜6時、夜10時以降が睡眠に最適」とし、「その時間帯は運動する人もいないので静かで、ジムがまるで高級スイートルームのようだ」と語った。

専門家はこの現象について、高い家賃や物価、失業率の上昇などで若者の経済的負担が増す一方、過度な競争の中で休息と安らぎを求めるニーズが重なった結果だと分析する。ジムをホテル代わりに利用する例が増えるなか、一部のジムでは長時間の仮眠や夜間宿泊を禁止する対応に乗り出しているという。
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