
トランプ政権が発足当初に積極的に推し進めた反移民政策は、最近の経済情勢と衝突し、次々と後退している。特に、ジョージア州の電気自動車用バッテリー工場の建設現場において、不法滞在の疑いで韓国人労働者ら約500人が拘束される事態が発生し、トランプ政権は外交上の波紋と製造業への投資縮小懸念に直面している。
4日、米当局はジョージア州にある現代自動車グループとLGエナジーソリューションとの合弁によるバッテリー工場建設現場で勤務していた韓国人317人を含む計475人を逮捕・拘束した。この事件は韓国をはじめとする国際社会の反発を招き、トランプ流反移民政策の限界を露呈させた。
14日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、こうした政策後退が、反移民路線を強く支持してきた米国の極右勢力の怒りを買い、米国のドナルド・トランプ大統領の政治的立場に新たな変数として影響を及ぼしていると報じた。
この日、トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「他国の企業が米国に投資するのを恐れさせたり、やる気を削ぎ取ったりする意図はない」と述べ、「我々は彼らを歓迎する。我々は彼らから学び、近い将来、彼らの専門分野で彼らを凌駕できるようになると誇らしげに言えるだろう」と記した。
さらに彼は「外国企業が巨額の投資をもって米国に進出し、複雑な製品や機械などを生産する際、一定期間自国の専門人材を連れてきて米国人にノウハウを伝授し、最終的には撤退することを望む」と付け加えた。今回のトランプ大統領の発言は、反移民政策を支持してきた極右の強硬支持層と、韓国人労働者の大量拘束を懸念する韓国をはじめとする国際社会の双方に向けたメッセージと解釈される。
しかし、ここ数週間、トランプ大統領は反移民政策が経済を脅かすたびに、政策を撤回するか矛盾した発言を繰り返してきた。彼は不法越境の減少や全般的な移民取り締まりの成果を自賛する一方、外国人労働者、留学生ビザ、移民労働力に依存する産業と経済が衝突する場合には慎重な姿勢を示したとNYTは伝えている。
ケイトー研究所のデイヴィッド・ビア研究員は、「彼は政権内の他の人物のような土着主義的『浄化』に本気ではない」とし、「(トランプ大統領は)そうしたレトリックを楽しむ一方で、企業の経済的ニーズには常に理解を示してきた」と評価した。トランプ大統領のこうした立場変化は、極右支持者を激怒させただけでなく、政権内部で強制送還政策を実施する部署にも混乱を引き起こしている。

また、彼は米国の大学財政に脅威が及ぶ可能性を理由に、留学生政策でも譲歩した。5月、マルコ・ルビオ米国務長官は中国人留学生のビザを「積極的に取り消す」とし、今後の申請者審査を強化すると表明したが、2か月後にトランプ大統領はむしろ60万人の中国人学生に米国の大学への入学を許可すると発言し、保守陣営に衝撃を与えた。
彼は「外国人学生の受け入れを歓迎する。そうでなければ、我々の大学システムはすぐに崩壊するだろう」と強調した。これに対し、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党・ジョージア州)は「なぜ60万人の中国人学生に米国の学生の機会を奪わせるのか」と述べ、「決して許されてはならない」とSNSに投稿した。また、親トランプ系メディアであるフォックス・ニュースのローラ・イングラハム氏も「中国共産主義国家出身の学生60万人を受け入れることが『アメリカ・ファースト』とどう結びつくのか?」とハワード・ラトニック米商務長官を追及した。
さらに、トランプ大統領は6月、自身の移民政策が農業など特定産業に悪影響を及ぼしていることを認めた。彼はトゥルース・ソーシャルで「農家やホテル・レジャー業界が長年共に働いてきた熟練移民労働者が失われ、その代替は事実上不可能だ」と明かした。同日、米移民・関税執行局(ICE)はホテルやレストランなど特定産業の現場での取り締まりを自粛するよう指示したが、数日後に「すべての取り締まりは依然として可能だ」と発言を覆した。
元国土安全保障省次官補のケネス・クチネリ氏(Ken Cuccinelli)は「トランプ大統領は実業家であるため、『この政策のせいで事業ができない』という声に敏感だ」とし、「厳格な移民制限はむしろ、仕事を求める低所得層の米国人に利益をもたらす」と主張した。
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