トランプ関税の逆風 米企業、不確実性で採用抑制

ドナルド・トランプ米大統領の第2期政権下で進められる関税政策の影響により、米企業の雇用が抑制され、労働市場の成長が止まったと、英紙『フィナンシャル・タイムズ(FT)』が14日(現地時間)に報じた。
『FT』によれば、ここ数か月で製造業、小売業、エネルギー分野を中心に雇用が減少した。トランプ大統領の輸入関税によりコストが上昇し、不確実性が高まったことで企業が事業拡大に踏み出せなくなっているためだという。
オハイオ州アクロンのギターペダル製造会社ロビンス社のCEOは「何のメリットもない。突然の課税が雇用と成長力を阻んでいる」と語った。
雇用情勢の悪化を受け、エコノミストの間では米連邦準備制度理事会(FRB)が今週、今年初めて政策金利を引き下げるとの見方が強まっている。
先月にはジェローム・パウエルFRB議長が、雇用の伸びの鈍化がトランプ氏による大規模な関税引き上げに伴う物価上昇の影響を相殺する可能性があると述べていた。
一方、トランプ大統領は高関税が製造業の復興と雇用創出につながると主張し、企業のコスト増や雇用縮小といった副作用は一時的なものだと退けてきた。
米労働省労働統計局が発表した8月の雇用統計では、こうした傾向が具体的に示された。新規雇用はわずか2万2,000人にとどまり、とりわけ「トランプ関税」の影響を受ける製造業部門での減少幅が大きかった。
『FT』は、労働市場の成長はトランプ政権第2期発足以前から急速に鈍化し始めていたことを示すデータも含まれていると伝えている。
トランプ氏が大統領候補時代から巨額の政治献金を受けてきた米石油業界もまた、関税政策による打撃を大きく受けている。原油価格下落で苦境にある中、関税の余波で売上が落ち込み、鉄鋼や機器類の価格も上昇した。
ただし一部の経営者からは、関税が最終的に米国内産業の回復に寄与するとの楽観的な見方も示されている。
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