1,500億円規模…プーチンへの圧力強化
NATO加盟国が拠出後、米国製兵器を出荷
ドローン対策など防空システムが含まれると予想
停滞する和平協議、進展に注目
EU、米国と対ロ制裁策を協議

16日(現地時間)、『ロイター通信』は、ドナルド・トランプ米政権がウクライナに対し総額10億ドル(約1,500億円)規模の武器支援パッケージを承認したと報じた。北大西洋条約機構(NATO)の欧州同盟国が拠出する資金を通じて米国が武器を供与するのは初の事例であり、停戦に消極的なロシアのウラジーミル・プーチン大統領をけん制する狙いがあるとみられる。
米国防総省のエルブリッジ・コルビー政策次官は「ウクライナ優先支援要件リスト(PURL)」に基づき、5億ドル(約740億円)規模の武器支援2件を承認したとされる。総額は10億ドル(約1,500億円)に達する。具体的な装備品は明らかにされていないが、ロシアによるドローンやミサイル攻撃が激化する中、防空システムが含まれている可能性が高いという。関係筋によれば、すでに手続きは進んでおり、近く出荷が始まる見込みだ。
PURLは今年7月、米国とNATO同盟国が合意した新たな調達枠組みである。ウクライナが必要とする兵器を優先順位に従って提示し、NATO側が米政府の口座に資金を拠出、米国が自国製の兵器を供給する仕組みだ。合意からわずか2カ月で今回の制度が発動し、停滞していた和平協議の行方にも影響を及ぼす可能性がある。
欧州連合(EU)のウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は同日、トランプ大統領との電話会談で対ロ経済制裁の強化について協議したと発表した。SNS「X(旧Twitter)」に「近く仮想通貨、銀行、エネルギー分野を対象とする第19次制裁パッケージを発表する」と投稿し、ロシア産化石燃料の段階的輸入停止を加速させる方針を示した。トランプ大統領は以前から「欧州はまずロシア産石油の輸入をやめるべきだ」と求めており、今回の方針はその要求を一部反映したものとみられる。EUはすでに2027年末までに全面輸入停止を決定しているが、前倒しが検討される可能性が高い。
一方、プーチン大統領は同日、軍服姿でロシアとベラルーシの合同軍事演習「ザパド(西方)2025」を視察した。各種兵器や装備を確認し、「演習の目的は主権と領土を守り、連合国家(ロシアとベラルーシ)をいかなる侵略からも防衛するために必要な全能力を整えることだ」と強調した。
ウクライナに加え、ポーランドなどNATO加盟国への軍事的挑発を繰り返す中での示威行動とみなされている。
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