
韓国で、会社の事務所に置かれた冷蔵庫からチョコパイとカスタードケーキを無断で食べた従業員を、会社側が窃盗の疑いで告訴した事件が物議を醸している。裁判を担当する判事は「世の中があまりに世知辛い」と嘆いた。
韓国・裁全州地第2刑事部(キム・ドヒョン部長判事)は18日、貨物トラック運転手のA被告が窃盗罪で起訴され、1審で罰金5万ウォン(約5,308円)の有罪判決を受けた事件の控訴審初公判を開いた。キム判事は記録を確認した上で「400ウォン(約42円)のチョコパイと650ウォン(約69円)のカスタードケーキを食べたという内容だ」とし、「世知辛い世の中だが、控訴審でも窃盗罪が成立するかを検討する」と述べた。
事件は昨年1月、A被告が全羅北道完州郡にある物流会社の事務所に設置された冷蔵庫からチョコパイ1個とカスタードケーキ1個を取り出して食べたとして起訴されたもの。検察は軽微な事案と判断し略式起訴にとどめたが、A被告が無罪を主張して正式裁判を請求した。
A被告は「同僚運転手から『冷蔵庫の菓子を食べてもいい』と聞いており、窃盗の意図はなかった」と主張した。一方、会社側は「運転手に菓子を配ったことはあるが、自由に冷蔵庫から取っていいと許可したことはない」と反論している。
A被告の弁護人は「冷蔵庫は給水機の隣にあり、誰でも立ち寄れる場所だった。CCTV映像を見ても被告がためらいなく入っている」とし、「本当に盗むつもりなら箱ごと持ち出すはずで、チョコパイ1個とカスタードケーキ1個だけ取るのは不自然だ」と反論した。また「お腹が空いたら食べてもよいと言っていたのに、窃盗の故意が成立するのは理解できない」と訴えた。
キム判事は「被告人の行為に悪意は見られないが、法的に問題となる点があるかを審理する」と述べた。
1審では、全州地裁刑事6単独のキム・ヒョンジ判事が「事務スペースと運転手の待機場所は分離されており、冷蔵庫は事務室の奥に置かれていて運転手は立ち入れない区域だった」と指摘した。さらに「警備員も冷蔵庫の存在を知らず、菓子を食べたこともないと証言している」として、被告に物品処分の権限はないと判断し、有罪を認めていた。
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